2018年1月31日水曜日

今月の一本 The end is nigh

今月これです。なんかもう色々ギリギリですみません……
んでもって、微妙なネタバレを含んでいるのであんま知りたないわと言う人はあんま見ない方が良いかもです。ゲーム自体は超面白で超オススメなんですけど、スイッチ版が現在日本じゃ出てないんで、出てほしいところであります。Amazonで一応北米パッケージ版が買えるんで参考までに。Steamもあるでよ。
��____

DATA
発売 / 開発 :Nicalis(Switch) / Edmund McMillen,Tyler Glaiel
登場時期 : 2017
ジャンル : 死にゲー(プラットフォーマー)
機種 : Steam/Switch(海外のみ)
プレイしたのはSwitch版(要:海外アカウント)。また微妙なネタバレを含みます。


��難しくて面白い~
「100万回やられても、負けない」とは確か超魔界村Rで使われたキャッチコピーだが、魔界村シリーズは一貫して死んで覚えるバランスを追究した、いわば死にゲーだ。このキャッチコピーの裏には100万回死んでもなお懲りずにプレイし続けるだけのゲームの核となる面白さを持っているという意思が込められているように思う。実際このキャッチコピーの通り魔界村シリーズは何度死のうともやり続けるほどの面白さを持つ、清く正しく「難しくて面白い」ゲームだった。難しすぎないというのも最大のポイントで「難しいけれど出来ないわけではない」という絶妙な調整により構成されたゲームでもあった。それ故に、今なおアクションゲーム史に名を残す傑作として評されているのだろう。
さて、「難しくて面白い」ゲームと言ってみたは良いけれど実はこれを達成できているゲームはあまり多くない。難しいゲームを作るのは極めて簡単だが難易度を馬鹿みたいに上げたからといって面白くなるかといえば当然ノーだ。ゲームに真摯に向き合い努力することでクリア可能な程度でなければならない。また、プレイヤーに過剰なトライ&エラーを強いてもいつしかプレイヤーの方が発狂しかねない。下手をしたらゲーム自体に激しい絶望を覚えかねない。そのためにはプレイヤーにストレスを溜め込まない快適性も求められる。「難しくて面白い」ゲームは意外と希少な存在なのだ。
この焦土と化した死にゲー界は実は近年になっていくつかのタイトルのスマッシュヒットにより再び注目され数々の傑作が生まれている。3DACTRPGであればソウルシリーズなどが挙げられるだろう。2D作品に注目すれば「VVVVVV」「1001Spikes」「スーパーミートボーイ」などは、特に2Dジャンプアクション(プラットフォーマー)において死にゲーの一つの解答とまで言わしめるほどの完成度の作品だった。
そしてこの傑作らと双璧をなす完成度を誇り再びこのジャンルの解答を示したゲームが現れた。それこそが今回紹介する「The end is nigh」である。あの「スーパーミートボーイ」を世に送り出したEdmund McMillen氏の作品だ。

��飛べ!つかまれ!そして死ね!~
主人公で腐れゲーオタでもある黒いスライムみたいな外見のAshは、世界が終焉を迎えてもなお引きこもりゲームをしていたのだが、ゲームプレイを配信しても当然ながら誰も見ておらず、更にはカセットが壊れて端子フーフーしても直らないことに怒り狂い、久しぶりに外の世界に出向いてパーツを組み合わせて友達を「造る」ことに決め、ついでに新たなゲームカセットでも探すことにした。というのが今作のあらすじである。筆者も今調べて知った衝撃的な物語であり世界が終わっているにも関わらず自分の快楽のことしか考えていないダメオタまっしぐらのストーリーである。ゲーム始めてのオープニングでいきなり「ファーック!!」とか叫び出したのは理由はここにあったのか……
ゲーム内容は普通の死にゲーなので死んで覚える感じなのだが、McMillen氏が作ったミートボーイとはかなり異なる点も多い。ミートボーイがステージクリア型だったのに対して今作は各ステージが独立しておらず相互に結びついている。いくつか特徴をまとめておこう。
・一撃即死制
死にゲーではおなじみのルール。トゲや落下死、敵の攻撃に触れようものなら即ミス。救済要素無しで心行くまで死んで死んで死にまくって突破してくれという男バランスで構成されている。基本的に残機は無制限なのでガンガン死んで良い。後半では……
・収拾要素
ミートボーイではバンドエイド収集によりキャラクターが追加されたりといった要素があった。今作では収集アイテムとして腫瘍とゲームカセットがある。両者ともに別に集めなくても(一応)クリアは可能だが腫瘍に関しては裏面の世界に大きく関わっているため、完全制覇を目指すなら集めることが望ましい。腫瘍は配置が絶妙であり回収にはかなり骨を折る。一方のゲームカセットは取得すると主人公の自室にてミニゲームをプレイすることが可能。ア○スクライマーやらファイナル○ァンタジーっぽいゲームの姿もあるが基本的には本編と同じくジャンプアクションである(ちなみに本編を軽く上回る激烈超難度なので要注意
・快適性
昨今の死にゲーでは重要視されるどころか、むしろここは当然とすら思われるようになってしまった感もある所だが、今作は完璧にもほどがある仕上がり。死亡時のロードは無に近く心行くまでトライ&エラーに撃ち込める。操作の煩わしさも皆無で思った通りにキビキビ動いてくれるので動かす楽しさもばっちり。解法がつかめれば各ステージクリアまで1分もかからない手軽さも魅力。無論解法をつかむまでは死に続けるのだが……
・ステージ、エリア構造
各エリアに15~25ほどのステージがあり各ステージ(面)は固定画面で構成されておりこれらが全てつながっている。イメージ的には「VVVVVV」が最も近い。また一部隠しステージにつながっていたりする箇所もあり、探索アクションの趣もある。
・操作
基本は方向キーと2ボタン(ジャンプとしゃがみ)で行う。しゃがみは特定の箇所にて使う感じなので移動とジャンプが中心と言っていいだろう。ミートボーイと比較するとダッシュや三角飛びが消滅した代わりに崖つかまりが中心アクションとなった。崖のふちにピッと引っ付く、突起につかまるなどして次々とジャンプアクションを行っていく感じだ。

といった具合である。優れた死にゲーであった「VVVVVV」「スーパーミートボーイ」「1001Spikes」の良いところのみを抽出した仕上がりと言ってもいいだろう。
今作の最大の魅力はやはり殺意の集合体とも取れるステージ構造、そしてそれを攻略していくことの快感に尽きる。辺り一面はトゲの海。トゲとトゲのわずか1ブロックの隙間に飛び込むことなど日常茶飯事。更にはレッド・○リーマっぽい挙動で迫りくる骸骨鳥の頭にちょうど飛び乗り踏みジャンプして向こう岸に渡る極限場面の連発。酸の海でおぼれ死なないように息継ぎをしつつ、尋常じゃないスピードで迫りくる敵をスパパとかわす。下からせりあがるマグマを極限ジャンプの連発で上へ上へと渡る。敵の大群が押し寄せそのわずかな隙間を縫うように飛び交い次のステージを目指す……などなど、もはやこのゲームは何でもありなのかと言わんばかりに多種多様な手でこちらを地獄のどん底に陥れようとしてくる。判断を間違えれば即死に、判断を間違えなくても死ぬ。躊躇えば死に、意を決して特攻すればまた死ぬ。襲い掛かる地獄の世界。大半の人にとって、血反吐を吐くような激ムズアクションだろう。全体を通して凄まじい難易度であり恐ろしく難しい以外の言葉は無いのだが、理不尽さ皆無でひたすらにトライ&エラーでその激烈な殺意の中にある純粋な正解を指先の微妙な調整で手繰り寄せていくことがこの上なく楽しい。いくら難しいと言えどもリトライにかかる時間は無に等しく、何十機も潰していくうちにどの加減で入力すればいいのかは流石に分かってくる。そうして少しずつ正解のルートが見えてくることの快感と、その過程で繰り返される1ミリの狂いの無い操作と0.1秒の狂いの無い判断がこれでもかとプレイに没頭させてくれる。次々にあの手この手で殺そうとしてくる仕掛けの数々に、殺されながらもその地獄を突破した時の圧倒的達成感。この面白さに敵うものなんてない。恐ろしいまでの極限状態の連発であるが故にその満足度は圧倒的に高い。
また鬼のように難しいことは事実だがそれ以上に素晴らしいのは理不尽さが無いことに加えて段階を追って難しくなっていくことにもある。いきなりクリア不能の超難度というわけでは無く、序盤のステージでは穴に落ちれば死ぬ、崖つかまりを利用するなどといった基本ルールとテクニックが身につくように設計されているし、新たな殺意ギミックが現れる箇所では必ず難易度をいったん落としてくれている。そして徐々に上げていき激烈熾烈の難易度という塩梅になっているのだ。こういった点は極めて親切であり、こういった配慮が効いているからこそ「最後までやったるぞ!」という気にさせてくれる。悪戯に難しいだけのゲームではないのだ。操作性が極めて良いことも理不尽さを感じさせないポイントの一つ。変な癖などはなく動かしているときは動くし動かしていないときは止まる。キビキビと思うがままに動かせるので殺されてもその死に納得がいく。複雑な操作の類は一切なく、あるのは瞬間瞬間の判断と入力のみ。こういったところを丁寧な調整を施しているのが素晴らしい限りである。

��地獄の底で踊れ!~
これまでは純粋な死にゲーとしての話が主だったが、今作が凄いのはその探索死にゲーとしてのステージ構造にもある。のだがそれを説明するには裏面の存在について語らなければならないだろう。パーツを集めて友達を造るのが表面でありここでいったんゲームは終了する。のだが、まだ続きがあるのだ。友達が完成した後、世界は豹変した……。絶望という言葉すら生ぬるいものに……。そしてこうして突入するのが裏面である。
表面は残機が無制限だったので死にまくれば解は見えてくる。しかし裏面は単純な難易度が更に上がった上にあろうことか残機が有限なのだ。この事実を知ったとき筆者は本当に地獄の底に落とされたような気にさせられ、「何が何だか分からない……」と白い壁に向かってうわ言を言ってしまった(危ないな)。そしてこの残機に該当するものが今作の収拾要素である「腫瘍」なのである。腫瘍一つにつき1機なので、ここで腫瘍がある程度無いとかなりきついことになる。安全に行くなら200個以上は欲しいところ。
地獄のどん底から這い上がるためにこれまで踏破した各エリアの各ステージを巡って腫瘍を集めていくわけだが、ここでまず「あれ?こんな簡単だったっけ?」と気づくことになる。そう、一度クリアしているから指先が感覚をある程度覚えてくれているのだ。感覚的には魔界村で2周目が意外と簡単に思える錯覚に似ているかもしれない。そして腫瘍回収を考え出すとまたステージがその印象を変える。一粒で二度おいしいと言ってもいいだろう。また腫瘍回収を目指すうえで重要になってくるのが隠しステージの存在。隠しステージには大きな腫瘍が配置されておりこれは一つで何と5機換算!手っ取り早く裏面の残機を増やすならまずはこれを中心に集めたい。
そしてこの隠しステージの設計があまりにも絶妙。普通にステージの攻略だけを考えているならまず気づかない、しかし隠しステージがあるんじゃないか?あそこもしかして奥行けるんじゃないか?この穴隠しステージにつながるんじゃないか?と思ったところは大抵隠しステージにつながっているという見つけた時に「うわー!!」と思わず声を上げたくなるような構造になっているのだ。こんなにも作り込まれているのか!?と驚くこと間違いなし。隠しステージも隠しステージで難易度はかなり高い。しかし共通して理不尽さは皆無。死に続ければ突破の道は切り開けるだろう。
裏面は本当に難しい上にプレイヤーを地獄のどん底へ突き落すような仕組みが非常に多い。最後に待ち受ける衝撃の展開も語りたいところではあるが、こればかりはプレイしてその目で見て頂きたい。しかしこのゲームにどっぷりとハマると、その地獄のどん底でもがくことそれ自体がこの上なく面白く思えてくるのだ。息つく暇すらないほどの超難易度をひたすらにやり込み寸分の狂いの無い判断と操作を繰り返しいつしかハイになっていく快感は他のゲームでは味わうことが出来ない。究極とも言っていいほどの激烈死にゲーの決定版だ。
今作は文字通りの極悪難易度なので苦手な人にとってはある意味ゲーム自体に抵抗を覚えてしまうかもしれない。しかし、死にゲーというジャンルの決定作とも言える完成度の傑作であることは間違いない。死にゲーが好きならこれはやらなきゃ損だ!!




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