2018年7月31日火曜日

今月の一本 ロードモナーク とことん戦闘伝説

もはや二か月に一本と化している今月のはこれです。ネタは上がってたんですが、時間がなくてズルズル…。WiiVCが半終了してしまったので入手に難こそあれど、ロードモナークの中でも傑作だと思うので是非ともお勧めいたします。
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DATA
発売 / 開発 :セガ・ファルコム / 大宮ソフト
登場時期 : 1994/2008(WiiVC)
ジャンル : RTS
機種 : MD/WiiVC

~RTSはやさしさの時代へ?~
ロードモナークは1991年に日本ファルコムから発売されたシミュレーションゲーム(アクションパズルとも言われるが)である。ドラゴンスレイヤーシリーズに名を連ねているが、ドラスレとはほとんど関係ない異質の作品である。同時期のぽっぷるメイル、ブランディッシュらとともに「新しいファルコム」を見せつけた偉大な作品だ。
ジャンルはシミュレーションだが中でもリアルタイムストラテジー(RTS)系に分類される。RTSと言えばリアルタイムで進行する戦局に対して計画と戦略を立てて攻略していく、その場その場の判断力を求められたりもしてリアルにヤバいよ的なジャンルだが(意味不明)、イースにてやさしさを見せたファルコムらしく複雑なこのジャンルを誰でも出来るよう調整されている。
基本的なゲーム内容は陣取り戦争ゲーム。4つの国が勢力争いを行い他の3つの国を滅亡させればステージクリアとなる。プレイヤーは自国の部隊、王に命令を出し他3つの国を滅ぼしていく。部隊は陣(家)から勝手に湧き出て自分である程度考えて行動し、陣を新たに張ったり敵を倒してくれたりする。オートで勝手にやってくれるのがナイスなところだ。
部隊の発生に大きく効いてくるのが自国の税率。これが高いと国への収入は増えるが部隊発生率が下がり、逆に低いと収入は減るが部隊発生率は上がる。部隊をたくさん出せば勝手に色々行動してウハウハに見えるが、陣を張るのに金が必要になるため巨大な国にするには税率のコントロールが必要。さらにこの他にも金が必要になるシーンが多く、税率操作にプレイヤーの積極的な介入が求められる。
また、ロードモナークには制限時間の概念が存在し、更にこれは次のステージに持ち込まれる(繰り越しになる)ため効率の良い戦闘が求められる。そこでプレイヤーが部隊に指示をだし、素早く他国を滅ぼしていくことが重要になる。
この「プレイヤーの介入」が極めて絶妙なバランスであり自分の力で戦局を変えて支配していく感覚こそがロードモナークの魅力だ。効率の良い戦闘を行うことでプレイヤーが表彰される(ファルコム、移植版だとメーカー、開発チームから直々に表彰状がゲーム内に表示される)というユニークな要素があるのも特徴と言えるだろう。
そんなロードモナークをMDに移植したのが今作。初代ロードモナーク、そして続編のアドバンスドロードモナークのマップを完全収録し、独自要素の追加や原作には存在しなかったストーリーを加えたストーリーモードの存在とまさしく決定作ともいうべき存在だ。

~戦争に勝つための4の掟~
誰にでも出来るRTSとしてのロードモナークだがジャンルがジャンルなだけに最初はとっつきにくいところがあるかもしれない。MD版はチュートリアルが優秀なので安心だが、「流れを支配する」ゲームなだけにどうすればいいの?と混乱する人もいるかもしれない。
ロードモナークはシンプルなゲームなので4つのポイントを押さえれば大丈夫。その4つのポイントは「土地」「兵(部隊)」「金」「頭」だ。戦争に勝利するための4の掟として各々をここでまとめておこう。

①土地
とにもかくにもこれが無ければ国として存在できない始まらない。土地に陣を張り自国の領域を広げていくことが第一の目的となる。自国の領域が増えれば増えるほど発生する部隊は増え収入も増えていく。まずは土地を取り自国を大国にしていこう。無論他の3国も同じことを考えていることには注意が必要だ。
中盤に差し掛かると陣を張れる場所は少なくなり、敵の陣を壊して自分の陣を張っていくことが重要になる。如何に自分の陣地を取られることなく敵陣を壊滅に追い込むか。ここがプレイヤーの戦略の見せどころで面白いところだ。
ゲームに慣れてきたら「占領率」にも気を配りたい。言わばどれだけマップ内を自分の陣地に出来たかという割合なのだが、これが低いとペナルティとして残り日数(制限時間)が減ってしまう。日数は繰り越せることに加えて後半のマップは流石に難しい。なるべくならタイムリミットには余裕を持ちたい。

②兵(部隊)
自国の領域を増やすには陣を張れる部隊がいなければ話にならない。また土地を広げる上で荒れた土地を陣が張れる土地に戻すのにも部隊が必要、敵陣を壊すのにも部隊が必要だったりと、部隊がいなければ何もできない。そのため基本的にはガンガン増やしたいところだ。部隊は陣から発生するため、多くの部隊を出すには陣を広げていくのがセオリーだろう。
無論敵も同じことを考えており、敵部隊はどんどん減らさないと後々大変なことになる。

③金
「それにしても何をするのにも金、金、金だなー」とは確かバレンヌ帝国皇帝の言葉だがロードモナークでもこの言葉のとおりである。陣を張るのに金が、橋を造るのに金が、強力な部隊を維持するのに金が…ととにかく何をするのにも金がかかりまくり。このためこの金をコントロールするぜいりつの扱いが重要になる。
先にも述べたが税率が高いと収入は増えるが部隊発生率は下がる。逆に税率が低いと収入は減るが部隊発生率は上がる。部隊を出しまくっても金が無ければ大した行動はとれず、逆に金を大量に持っていても部隊がいなければ意味がない。かといってずっと中くらいにしておけば良いというものでもない…とこの調整が難しい。しかしロードモナークには最適税率という、このくらいにするといい感じだょと示してくれる目安がある。まずはこれをベースに合わせていけば間違いない。
慣れてきたなら「MAXかMIN」が実は最も効率がいいということに気づくだろう。ガッと部隊を増やすときは増やして、ムシれるときにムシれるだけムシる。これがこのゲームの肝だ。この最適な行動が簡略化されて分かりやすいというのもロードモナークの素敵ポイントの一つ。

④頭
この頭というのはプレイヤーの頭脳だけでなく国の頭(トップ)、つまりは王のことも指す。王は飾りではなく指示を与えることで移動してくれる。部隊と異なり陣は張れず橋も作れない…など制限は多いが、国のトップだけあって凄まじい戦闘能力を誇る。王を操作して敵領域に攻め込み、敵陣を徹底的に破壊し尽くせば相手に与える絶望度は非常にでかい。ゲーム中盤、終盤ではこの王をうまく使わないと突破できないマップも登場するが、ぎゃくにいえば絶望的局面を打開できる究極の切り札でもある。王の使い方がポイントだ。
だが王を使っとけば何とかなると思ったら大間違い。敵も王がいなくなった隙を狙ってあの手この手の妨害を仕掛けてくる。王が遠征から帰ってくるまでに強力な部隊を城において城に帰れなくさせてきたり、橋を壊して帰れなくさせたりとかなりに非情。立ち往生した挙句に大往生(むしろ犬死に)するなんてことも起こりうる。また王が税率をコントロールできるのは城に居る時のみなので、遠征してたら金がなくなった…なんてことも平気で起こりうる。
このようなことを防ぐためにプレイヤーの頭がポイントになる。常に最良の一手を考え、戦局を見極め、部隊や王に指示を出す。戦局を変えるのはこのプレイヤーの介入だ。どの国から滅ぼすか、どう滅ぼすか、どのタイミングで王を出すか、そのためにどの程度の資金を蓄えてから仕掛けるか、マップを観察してあそこに橋かければ2か国争っている間に一国潰せるんじゃないか、どのタイミングでモンスター(お邪魔キャラ)を倒しにかかるか、ここに柵を作って敵の侵入を防いで…といった戦略の構築も非常に重要だ。そしてこの頭を使い戦略を立てることがこの上なく面白い。自分で考えた戦略を実行し、手を動かしゲームの流れを支配していく。シミュレーションゲームとして非常に優秀だ。

ファルコムのロードモナーク公式HPにこんな台詞がある。
『あえていうなら、ロードモナークは新感覚のリアルタイムS.L.G.となる。既存のジャンルにあてはまらないユニークなゲームであると同時に、他のどのゲームよりもゲームらしい楽しさにあふれている。マップの特徴を読む、展開の先を読む、攻撃のタイミングを計る、逆転を狙って耐えるとかいった「ゲームに絶対必要な要素」がすべて揃っているからだ。』
この言葉に偽りはない。このゲームの醍醐味を体験してもらいたい。

~セガモナークは素晴らしい~
ロードモナークのコンシューマ版は3つある(FMTOWNSとか含めたらもっと増えるけど…)。SFC、MD、PSであり、この3作はどれも移植に当たりオリジナル要素を付加して独自の味を出している。一番乗りともいえるエポック社のSFC版ではオリジナルマップ、オリジナルBGMが追加されていて、PS版に至っては全マップが新規のものでエディットモードなんてものもある。
そしてこのセガ&大宮ソフトのMD版はこの独自性が非常に強いものになっている。ストーリーモードにて独自の新規マップを採用し、ロードモナークに物語を付加しただけでなく新たな要素を加え面白さを引き出しているのだ。このあたり大宮ソフトの職人芸が光る。
まずは勝利条件の追加。ストーリー展開にあわせて、ただ勝てばいいというだけでなく金を一定数集めたうえで勝て!だとか相手よりも先に人を助けろ!とかそういった条件を満たして勝たなければならないマップが登場。これにより一味違う戦闘が楽しめそれだけでなくストーリー展開と絡んだドラマティックな戦いが演出されている。
次に中立都市や宝箱の存在。ロードモナークにおいて金を得るには収入、つまりは税率コントロールしかなかったがMD版では一部マップにて中立都市や宝箱が存在する。中立都市は、王を遠征させてそこを押さえると、以降一定時間ごとに使者が自城に金をお届けしてくれるというとんでもないものだ。さらに宝箱、これは王が取得するだけで莫大な金が一気に手に入るという優れもの。これにより、より攻撃的でスピーディな戦闘になった。いつ都市を押さえに行くか?宝を取りに行っていつ攻めるか?とより奥深さを増している。
最後にイベント。勝利条件もイベントの範疇と言えば範疇なのだがこのイベントがすごい。例えば森マップでは巨大な木のモンスターが土地を荒らし、凄まじい勢いで木が増殖していく。この木を何とかしなければ…という中壮大な陣取り合戦が幕をあげる。ただ単に他3つの国を落とすことを考えればよかった通常マップとは一味もふた味も違う戦闘になる。他にも津波が襲来して地形が激変したり、真っ暗で何も見えない中陣地を広げて明るくしていくマップ、強力な魔人を使って攻めるマップ、溶岩を王を使って普通の土地に戻しつつ戦うマップ、一定時間経つとその場で自爆する爆弾兵が出てくるマップ、モンスターのゾンビにやられると部隊がゾンビになるマップ、魔王の復活を阻止するマップ…と細かく挙げていけばきりがない。これらがストーリー展開と絡み合いロードモナークしているのだ。ハッキリ言って面白すぎ。これらに対してきっちり戦略を立てて詰めていく、流れをコントロールしていくのが楽しすぎるのだ。
ストーリー面では超が付くほどのド王道ものといって良いかもしれないが、このベタベタ感もたまらない。みんな分かりやすいキャラで非常に楽しげ。またMD版独自の音楽やアレンジも見逃せない。ツーファイブの面々による新曲はもちろんのことアレンジも大変に素晴らしく、オリジナル版、エポック版と比べてもかなり良い出来である。メカニックテクノはこのMD版が最もカッコいいと思うのだが、どうか?
MD版はタイトルの通りにこの一本にてロードモナークをとことん心行くまで楽しめる決定作であり傑作である。戦略を立てる楽しさ、流れを作り出す楽しさを是非とも体感してもらいたい。



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