2018年5月31日木曜日

今月の一本 斑鳩

今月の一本、アトミックRunGunjumpGun編は後半ステージの凶悪な難易度に太刀打ち出来ず悪印象すら芽生え始めてきたので没に…。代わりにコレですけど超特急で書いたんでいつも以上に雑です。システム面についてかなり端折ってるので、別のサイトさんとか見て頂けるといいかと思います(本末転倒じゃねえか)。果たしてUBUSUNAは本当に発売されるのだろうか?
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DATA
発売 / 開発 :トレジャー / トレジャー、グレフ
登場時期 : 2001(AC)/2003(DC)/2008(XBLA)/2012(android)/2013(NESiCA)/2014(Steam)/2018(NS)
ジャンル : STG
機種 : AC(NAOMI)/DC/XBLA/android/NESiCA/Steam/NS


~今回は別の角度から~
先日、ニンテンドースイッチにて伝説の名作STG「斑鳩」が配信された。ProjectRSシリーズ2作目であり、元は2001年(!)にアーケードにて登場したゲームだ。もうすぐ発売して20年にもなろうというのに、古臭さを一切感じさせない。驚異的な完成度を誇るまさに孤高の名作である。
何故斑鳩が伝説の作品なのか?何がそこまで面白いのか?それには独自のシステムを挙げても良いだろう。属性システムによる攻防と戦略性、緻密に計算された敵配置にギミックが素晴らしい。ソリッド色あるグラフィックも良いだろう。2001年のゲームとしては、というレベルではなく一つの作品として極めて美しい。HD対応によりその美しさは更に洗練されている。ゲーム進行とシンクロさせた音楽、そこから紡がれる演出を語っても良い。しかし、斑鳩に関しては方々でこれらのことが語られているため自分が穿り返してあれやこれや言っても同じことの繰り返しになってしまうだろう。
そこで今回は少し違った目線で斑鳩について書いてみよう。斑鳩が傑作たらしめているのは、斑鳩独自の要素が優れているだけではない。STG中のSTGだからである。もっと言えば、これまでSTGというジャンルが積み重ねてきた、血脈を色濃く受け継いだゲームと言える。前作レイディアントシルバーガンでも数々のオマージュが見られたが今作もパロディウスもビックリなオマージュ溢れるSTGなのである。オマージュというよりもむしろ伝統芸と言っても良いかもしれない。

~STGが受け継いできたものとは?~
歴代のSTGが受け継いできたもの…そして色濃く見られるもの…。細かく挙げればキリがないので、ここでは大きく4つを挙げさせていただこう。
①ポエム
②縦シューであり横シュー
③パズル
④狙い撃ち
他にも苦労してクリアしたのに自爆エンドとか、分からなそうでなんとなく分かってくるスコアシステムなどもあるが、今回は割愛。正直「ハァ?」という声が飛んできそうだが黙殺する。とりあえず順に解説していこう。

①ポエム
ポエム、Poem、詩、そうポエム。STGはポエムでありポエムはSTGである。それ故に、斑鳩はポエムである……。……これじゃダメっすか。そうっすか。
演出を重視するタイトーのSTGに多く見られたのだが、サントラのライナーノーツにてポエム及びポエミーな表現が多く、そしてそれがゲーム及びプレイヤーの心に深くハマり印象を色濃くしている。STGはストーリー表現などどういうわけかポエミーな表現が多くその深みにハマる人もいたのであった。レイクライシスなどはまさしくポエムSTGの代表例であり、最近でも(出来は極めてアレだったが)RXN-雷神-でもポエム感あるテーマ曲を使用しており印象的であった。
斑鳩もまさにこのポエムの伝統を受け継ぎ、それを洗練させもはやポエムそのものとなってしまった感もある。ゲームを開始していきなり
「我、生きずして死すこと無し。理想の器、満つらざるとも屈せず。これ、後悔とともに死すこと無し」
という文章が表示される。いきなりポエムで、しかも妙に重々しい。満つらざるって何よ?というプレイヤーの疑問に答えることなくゲームは進行していく。その後もステージテロップとして各ステージにポエムが挿入されていく。チャプター2では
「自らの意志が、強固であるほど様々な試練に苛まれるものだ。無論、試練を目前に避ける事も出来れば、逃げる事も出来る。だが、試練の真意は、そんな己の心を克服することにある」
チャプター3では
「浮き世に絶対などというものは無く、理不尽な思いを胸にして途方にくれる時もある。それを乗り越える為には、確固たる信念と洞察、そして幾分かの行動力を持つ必要がある」
といった具合だ。果てにはラスボスを倒しエンディングかと思ったらとどめにポエムである。冷静に見れば、非常に奇妙な演出だ。
しかし斑鳩をプレイしていくとこれらのメッセージが強く印象に残るようになっていく。これらのメッセージはゲーム内でのストーリー表現の一環でもあるがプレイヤーの心情とも強く重なるものでもある。斑鳩はかなり難しいゲームであり、一方でクリアに求められるものは諦めない心のみというゲームでもある。心が折れそうになったとき、これらのポエムの数々が胸に突き刺さる。そしていつしかポエムに陶酔し斑鳩に陶酔していくようになるのだ! この! プレイヤーが! ゲームとシンクロし! 一体になっていく感覚ッ! これこそが! ポエムSTGの魅力に他ならないッ!! クリアした時には「我、生きずして…」という文章を暗唱出来るようになっているだろう。それほどにこちらに訴えかけてくるものが多く大きい作品なのだ。ポエムの魅せ方として自機をクローズアップし音楽の展開と完全にシンクロさせる演出も見逃せない。

②縦シューであり横シュー
斑鳩は縦画面縦スクロールSTGである。つまりは縦シューであることはもう自明であろう。
対して横シューは横画面横スクロールSTGである。一見すると純粋な縦シューの斑鳩とは何一つ縁が無さそうだが、横シューの特性に目を向けてみよう。横シューでは高速弾切り返しや弾幕回避といった要素よりかはむしろ地形をかいくぐる戦略性に長けるものが多い。
斑鳩は縦シューであり縦シューの特性もありながら、しかし地形の影響が大きく解法には横シュー的な発想や頭の使い方が求められる場面も多い。まさにSTG界のハイブリッドSTGなのである。2面3面4面でのその奇想天外なステージ構造の数々で体感できる。3面のシャッター地帯や4面ラフレシア弾幕地帯はまさしく今作屈指の名場面だ。

③パズル
STGを雑に大別するなら一つはバリバリ撃ってガンガン進む爽快感重視のSTGである。もう一つは知識を蓄えリアルタイムに計算を行いパズルを解いていくような思考力重視のSTGである。後者は主にアイレムが得意としていたタイプでもある。
ProjectRSシリーズは後者に分類され、斑鳩はとりわけパズル要素が強い。地形を解決していくというパズル要素に加えて属性の使い分け、更には今作の肝でもあるチェインシステムがパズル性を高めている。計算された敵配置をどう紐解いていくか?という点で今作の右に出る者はいない。解き方に手間取ったり間違えたりした場合待ち受けるのは死のみである。敵配置の暗記とパターン化が他のSTGよりも効果的であるが、血がにじむような努力を必要とされる事実もそこに存在していることは否定できない。
とはいえ、クリアを目指すだけなら極限のパズルとはならず自分に出来る限りの稼ぎ(解けるパズルの構築)と生存優先の行動で十分なのがポイントだ。難しいが、不可能ではないタイプの難しさなので、点滴が雨だれを穿つようじっくりと取り組んでもらいたい。

④狙い撃ち
最初期のSTGは様々な制約からちまちまと狙い撃つ快感を重視した作品が多かった。スペースインベーダーに始まりギャラガ、ゼビウスなどなど……。その後扇形に広がるショットの登場や卓越したプログラミング技術及びハード、基板性能の向上による大破壊感の演出が可能となったこととこれが好評を博したこともあり、ちまちました面白さの狙い撃ちの文化は失われていこうとしていた……。……わけでは実際はなく狙い撃ちの重要性はしっかりと残っていったのだが見かけの上ではかなり狙い撃つということが分かりにくくなってしまった。
そんな背景がありつつ登場した斑鳩は驚くほどに狙い撃ちを強めた作りである。メインショットは自機正面のみであり、さらに単発狙い撃ちを要求される側面も多い。チェインを真剣につなごうとするならば尚のことだろう。しかしこの攻撃をかいくぐり狙い撃ちチェインをつなげていくという行為が非常に面白いのだ。STGの原点ともいえる面白さが斑鳩には色濃く投影されている。
また意外にも狙い撃ちを無理やり強要させる場面は存在していないのがポイント高い。自分の実力と比較してバリバリ破壊しまくっても無問題なのである(スコアエクステンドや撃ち返し弾との絡みもあるので一概には言えないところもあるけど)。ストイックに見えるが多様な遊び方が許容されること、これもまた斑鳩の魅力だ。

以上、大きく4つを見てきた。こうしてみると一見異質でありSTGの突然変異とも取れる今作だがその中身は極めてSTGしていることがよく分かる。そして多様な魅力に満ち溢れている。ポエムに陶酔するのも良し、バリバリ敵を破壊しても良し、狙い撃ちを極めんとしても良し、パズルに思いをはせ、地形に悶絶するのも良し、グラフィックや各部の演出、音楽も文句なしの一級品で美しくカッコいい。
斑鳩は歴代のSTGが受け継いできた数々のものをガツンと含んだ色あせることのない傑作である。今からでもその伝説に触れるのは遅くはない。

~おまけ:斑鳩の魂を受け継いだ、受け継ぎそうなSTG~
「これで…良かったのか?」「大丈夫…何時かきっと、分かり合える日が来る」「そして、遠い未来へ・・・命は受け継がれるから」
とは斑鳩とどめのポエムだが斑鳩誕生から幾年、その魂を(勝手に?)受け継いだSTGも登場し更には受け継ぎそうなSTGも登場しそうな今日この頃。今回はその2作に勝手に思いを馳せておこう。

・魂を(勝手に?)受け継いだSTG「サジタリウス・エー・スター」(DS/2014/ラックプラス)
見た目はシルバーガン、中身は斑鳩の影響が色濃く見えるまさしく「ありえない、何かの間違いではないのか?」なSTGである(グラVじゃん)。縦シューでありながら地形の制約や狭所かいくぐりの要素もバッチリ押さえて横シュー成分も完璧。チェーンシステムによる凄まじいパズル性、極限の狙い撃ち(一刀両断)などもはや斑鳩の生き写しじゃないのか?とすら思えてくる。過去のSTGのオマージュも完備し、キャッチコピーまでもなんか似ている始末である。難度の高さも斑鳩譲りなので相当の鍛錬が必要になるが、確固たる信念と洞察、そして幾分かの行動力があれば確実にクリアできるSTGでもある。斑鳩が気に入ったのなら文句なくおススメだ。

・魂を受け継ぎそうなSTG「UBUSUNA ウブスナ」(PS4/20XX/M2)
斑鳩の制作に大きくかかわった井内ひろし氏、現在M2にいる氏が制作を手掛けている作品、それがUBUSUNAである。井内ひろし氏制作、そしてUBUSUNAという文字はProjectRSプレイヤーはハッとするものが既にあるだろう。中身に関しては現時点でほぼ全てが不明だが、井内ひろしにUBUSUNAとくればこれ以上いうことはないだろう。
……のだが井内さんの体調面が不安であること、M2自身もいろいろ手広くやり始めている(やり過ぎ?)ことからホントに出るかどうかあやふやな面が大きい。一応井内さんは昨年とあるゲームを手掛けられていたのだが、不安はやはり大きい。我々に出来ることは納得がいくまで作り込んでもらうことを待つだけなのだが、発表からもう数年。そろそろ追加の情報がほしいところだ。


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