2018年8月31日金曜日

プチカラット感想文

ちょいちょいプレイしてましたがある程度の区切り付くところまでやり切ったと思うので感想です。
今後どう付き合っていくか悩ましいとこですけど、ゲーセンに稼働さえしてれば……
あと毎度のように長ったらしくグダグダ書いてますが、このゲームの面白さを語る上でパターン化の思考の流れをそのまま書いてるので幾分か長くなってることと、そこをどうにも削れなかった自分の要約能力の低さ故です。なんかすみません。
____

DATA
発売 / 開発 :タイトー/タイトー
登場時期 : 1997(AC)/1998(PS)/1999(GBC)
ジャンル : アルカノイド+パズルボブル(アクションパズル)
機種 : AC(F3システム基板)/PS/GBC

プレイ状況
腕試しモードふつうレベル1シーモンドで1クレAll
同難しいレベル1シーモンドで1クレAll
お話モードアーケードシーモンドで1クレAll10回以上
同アーケード、オパー、パール&デール、サファイア、ラルドにて1クレAll
同オリジナルパーズで1クレAll
タイムアタックモード難易度マニア出現かつとりあえずクリアまで(タイムオーバーだが50列制覇) 

プレイは全てPS版アーカイブスにて 
※追記(2019/11/6)
参考動画としておはなしモードクリアした自分の動画を載せておきます。パターンミスってアドリブしてるキャラが結構いますが(アクア様とか)、パーデやペリードットなどはパターン入ってるので、パターン性の強さが伝わればと思います。


____

構成
0.初めに
1.ゲーム内容
2.内面的感想
3.外面的感想
4.総論
____

0.初めに

要は「アルカノイド」+「パズルボブル」なわけです。
アルカノイド…ブロック崩しというジャンルの中で光り輝く伝説の傑作です。
パズルボブル…パズルゲームにSTGの要素を加えた新機軸のゲームにして傑作です。
この二つを足したのであれば、そりゃもう傑作に違いないわけです。
一方で世の中には面白いゲームの面白い部分が抜け落ちた作品や、足し合わせた結果長所が消えて短所が残った作品もあるわけです。今作はそんな合体事故作品とは違うことを語らねばなりません。
雰囲気を軽く見ていきます。熱血少年、気弱メガネっ子、ロリメイド妖精、科学ショタ、男の娘、バニーガール、両刀ホモ、マスコットキャラ、ナルシストポエマーなど異様に濃いキャラが勢ぞろいです。
可愛らしい絵柄に加えてゲストキャラにパトラ子も参戦で多種多様の萌えが更なる萌えを呼びカオスな事態になってます。恐ろしいです。
これらのキャラがボイスやアニメーションで盛り上げてくれるわけです。いくつかセリフを抜粋してみましょう。
「イチコロでーす!」「シ、シスト悪くないのに」「もーう、イヤイヤですわ♪」「科学は万能だよ」「姉さん、危ない!」「男も好きじゃー!」「バビバビブベブベ!」「あぁん、しびれちゃうン♪」「ルコさまの力なのよさー!」
こういったセリフがプレイ中に飛び交うわけです。実に楽しげです。
何より重要なのは今作はキャラ要素に対しゲームが負けていないということです。キャラで釣った安いゲームとは格が違います。
移植されたハードにGBがあるのが良い証拠です。ゲームの核の要素だけで十分戦える作品であることを示してますね。
楽しいキャラ要素にリスク&リターン性、パターンとアドリブ、マップの記憶と読み解き、そこからの戦略と駆け引き…。これが単純なルールの上で成り立ってるのです。
これこそ、ゲームですよ。
____

1.いかなるゲームなのか

基本的には所謂ブロック崩しのそれですが重要なのが「ちぎり」です。上からずんずんとブロックがぶら下がるように降りてきますが、ボールをぶつけて他のブロックが切り離され孤立するとその部分がちぎれて下に落下します。普通にブロックを消していくよりもある程度このちぎりを上手く使いマップの攻略などしていきます。対戦モードではちぎったブロックの数に応じてオジャマブロックを相手に押し付けます。
またボールを下に落としてもミスになりません。代わりにペナルティとしてブロックが数列ほどずんずんと下がってきます。ちぎって落とすブロックを増やすべく、あえて下に落とすことも戦略の一つとして機能しています。
ミス条件は画面下部のデッドラインにブロックが到達することです。
基本モードは「腕試しモード」と「お話モード」の二つ(+二人で対戦モード)。PS版ではこれに加えて「タイムアタックモード」「ずんずんモード」があります。
「腕試しモード」はマップを攻略するモードで、簡単、普通、難しいの3つの難易度にレベル1、2、3、の3コースがそれぞれあります。200列ほどあるブロックを崩していき、その腕前を判定してくれます。
「お話モード」は所謂対戦落ちものパズルのような感じに、次々とキャラクターと戦っていくものです。お話の名が指す通りストーリーがあります。PS版ではアーケードを移植したものとオリジナルの二つのモードがあり、オリジナルでは対戦順を選べたり攻撃パターンを変えれます。
「タイムアタックモード」は50列崩すまでの時間を競います。
「ずんずんモード」はエンドレスモードで、ミスするまで永遠崩します。
____

2.内面的感想

ここでは主にゲームバランスの評価検討が中心です。PS版の各モード(特に腕試しとお話が中心)に対しての感想で、キャラがどうの絵がどうのというのは3の外面的感想にゆだねます。

「ブロック崩しでありながらパターン性が極めて強い」こと。これこそがプチカラット最大の特徴と言えます。ボールを目で追い素早く入力する技術よりも知恵と経験が重要なバランスです。
パターン性の強さを生み出しているのは「マップが固定である」ことに加え「弾道の種類が比較的少ない(Wikipediaによると8種類)」ことにあります。特に弾道の種類の少なさはこのゲームの独自のバランス構成に一役買っています。
弾道の種類が少ないことは、ボールがどこへ飛ぶかを把握することを容易にしてくれています。この辺にバーを置けば大体あんな感じで飛ぶ程度の理解度でクリアするには十分すぎるほどです。また狙ったところにボールを飛ばすことが出来なくても、狙った弾道(特に斜め撃ち)で飛ばすのは容易なこと、開幕からの数秒(約5~10秒くらい)での厳密なパターンが組めれば極めて楽になること&このパターンが比較的組みやすいことなど、プレイヤー優位の姿勢がうかがえます。非常に親切です。
ゲームスピードが遅めなのも良いですね。位置合わせまでの時間は十分あり、ボールの弾道を追うのも容易です。アルカノイドのように超速すぎて反応できないことはなく、ゆったり戦術を考えながらプレイできます。スコアを稼いだり、お話モードの終盤は流石に速いですが、そこまで行くのは十分やってるプレイヤーなので問題ないでしょう。
ちぎりシステムによるリスク&リターン性もプチカラットの売りです。下の方までずんずんと迫るブロックをちぎり一発決めて全部落として莫大なリターンを得る。ピンチをチャンスに変える一発逆転性、緊張と開放のリズム。文句なしです。

2-1.腕試しモード
200列あるブロックを全て切り崩すパズル色強めのモードです。最大の特徴はそのマップの作り込みと多様な解法が許容される高い戦術性の作りにあります。ここではふつうコースレベル1を例にとり、へぼいながらもAllした筆者の思考を追っていきます。
(以降の記述にはプチカラットの理解が必要になります。読む際の補佐としてネットにて見つけたマップが参考になるかと思います。
http://www.st.rim.or.jp/~shoda/old/p_carat/pattern.html
環境によっては文字化けしてるかもしれませんが画像に影響はないと思います。)

序盤は普通に崩せばいいわけですが、面白いのがスコアを考え出すと序盤から極めて考慮材料が多いことです。7列目に1ブロックが登場し、これをちぎればパーフェクトボーナスが取れるわけですが、重要なのはこれが3つほど連続しているところです。すなわち、連続でパフェが取れることに他ならないわけです。パフェ取ったらあらかじめボールを飛ばしてパフェ取れる位置に待機、ボタン連打でパフェ取得。一気にハイスコアです。一方でパフェを取り続けてるとランクが上昇しボールの弾速が超速化していくわけです。クリアだけを考えるならパフェは見逃した方が良いのは自明です。
1~10列目の時点で高い戦略性と多様なプレイスタイルが認められているのが分かりますね。そしてこれはマップが作り込まれていること、そしてそれを読み解く面白さが存在しているわけです。そしてそれを可能にしているのは弾道の少なさによるパターン化が容易だということです。極めて美しいゲームですね。

40~50列目が最初の壁になると思います。ここでハマり状態になり「どうも適当に飛ばしているだけでは突破はできないぞ」と思うわけです。
最初に思いうかんだ打開の一手は左右にある赤全消しストーンの起動による全消しです。しかしここで問題が起こりました。縦撃ちが非常に難しかったのです。また狙ったところに飛ばす技術もなく、縦を崩しにかかるも下に落としてそのまま撃沈、というのを繰り返してしまったわけです。
そこで次なる手として考えたのが斜め撃ちによる内部破壊です。内部に斜めから弾を送り込み反射させてスペースを広げ、孤立しそうな場所をちぎる。これが非常に効果的でした。そして赤全消しストーンの保険も生きているというのも良かったのです。斜め撃ちは縦撃ちに対し極めて簡単に実行できるというのもこのパターンの良さでした(一方でスコアの点からすればあまりよくないと思います)。
難所に対するアプローチの仕掛け方、複数ある正解のどれを選んでも突破できれば良いこと。今作のパズル色の強さはここにあるのです。

50~100列は適当に崩していけばそんなに難しくないです。ブロックの下降周期が暴力的な速度になりますが、その分ちぎりやすい構造になっています。一方ここで難しいのが「崩し過ぎによるライン追加」です。パフェ、ないしそれに近い状況になった時、ブロックがずんずん追加されるわけです。頭を悩ませたのは難しいコースの時でした(ふつうは意外と適当で何とかなる)。追加されるラインがふつうの4列に対して5列なんですよね。5列追加にミスで下落としで3列追加なんてやったらほぼ即死です。
自分はこの状況を避けるべくあえて下に落としておくという方針を採用しました。一方でマップの把握と狙い撃ちが出来るのであれば一気に落として一気にちぎった方が安全ともいえます。ここの判断が難しいところです。

101列で一気にゲームスピードが鈍化します。仕切り直しというわけですね。101列以降では2度当てないと壊れない銀ストーンや絶対壊れない金ストーンが出てきますがちぎれば無問題です。
難関は110~120のインベーダーゾーン、120~130のハートゾーンでしょうねえ。難関が連続しているのがニクイですね。
両箇所ともに斜め撃ちにより自分は突破しました。ピンポイントで狙えるならハートは真ん中を縦撃ちするのが良いんでしょうけど、失敗した時のリスクが果てしなく大きいのもありました。この自分で実行可能なパターンで突破出来る難度であることがこのゲームの懐の広いところです。

最難関は180~190列、190~200列でしょう。ゲームスピードの超速化に加えて破壊できないブロックが難儀です。
緑全消しストーンの起動がカギだとは思いましたがそこの狙い撃ちが難しいです。そこで自分が取った手は左右どちらかにボールを飛ばし右の場合は緑全消し、左の場合はちぎりというものでした。したがって、やはり斜め撃ちです。しかしここで大問題が起こりました。弾道パターンが実質固定のためちぎれずそのまま圧死というのが連発したのです。
遂に狙い撃ちを覚えるしかないのか…と思っていましたが打開の手は残っていました。高速でパドルを動かしてボールに当てて飛ばす斜め撃ちと、あらかじめ待ち構えて飛ばす斜め撃ちの弾道が違っていたのです。これに気づいてからは弾道のコントロールが可能になり「あっちが無理ならこっち」と選択肢の幅が増えたのです。これを覚えてからは一気に楽になりましたねえ。難しいコースも同様にクリアすることが出来ました。

以上、腕試しモードの具体例でした。マップの作り込みと多様な解法が許容される作り、高い戦略性、パズルを解く面白さの一端が伝わればこの上ないです。

○難点
・やはりアドリブでどうこうなるゲームではないということでしょうか。簡素であってもパターン化やマップの記憶は必須です。この点でプチカラットは難しいとみられることが多いようです。
実際は熱意さえあればクリア可能なバランスと感じますが、それが多くの人に伝わってないのが残念です。

・下に落としてもミスにならないという仕様が機能するのはある程度やり込んだ場合のみであることです。下手に下落としが決まった場合、普通の人はあわあわして下落とし、下までブロック到達で終了です。
つまりやり込まない限り保険が保険として機能していないのです。そしてこれはアーケードゲームの特性上仕方のないことでもあるのです。メタルスラッグシリーズ(特に3)におけるガスや特殊武器、大往生のハイパーと同様です。
このシステム、初心者安心の体を成してますがその実恐ろしくマニアックですよね。

・パターン性が極めて高いこのゲームですが突き詰めれば道中すべての動きがパターン化出来るわけです。スコアを考える場合弾道を把握して逆算して予めこう動くという極限のパターンが必須になるわけです。
いくらなんでも敷居が高すぎるのではないでしょうか?
(一方極まった人の動きはもはや芸術と化していること、これもまた事実です。スーパープレイ動画の中ではバトライダーの稼ぎと同等の狂気と美しさを覚えました)

2-2.お話モード
12+1人のキャラから一人を選びアーケードでは全11人、オリジナルでは全12人を倒してストーリーを進めていくモードです。

2-2-1.アーケード
腕試しモードとの最大の違いは相手の妨害が入ることです。そして勝利条件は相手をライン一番下までブロックが来るよう追い込むことです。すなわち攻撃的なちぎりを行う必要があることです。
腕試しモードでは斜めに撃っていれば時間はかかるもののある程度安定して進行できますが、こちらではちぎりにかかる時間が長すぎて逆に相手からのカウンターが飛んできます。素早くちぎるには縦撃ちが必要になってきたりします。基本が全然違うんですよね。
ここでもポイントになるのはパターン性ですが、それを示すにはやはりプチカラットの理解が必要になります。一部キャラに対して行った筆者のパターン化の過程を具体例として追っていきます(パターン自体はかなりへぼいです)。キャラはシーモンドで。
一応書いておきますが個々のパターンそれ自体に意味はまったくありませんし重要性も皆無です。STGやアクションもそうですけど、それがどうやって作成されるかこそが最も大事なことですよね。
(こちらもネットで見つけたマップが参考になるかと思います。
http://botamoti.lolipop.jp/propro/puchi/pc.htm

・シスト(2回戦で登場)
プチカラットお話モードがブロック崩しながらどこかおかしいと感じた最初にして最大の原因箇所でした。というのも、適当に撃ってるだけだと即死なんですよね。
マップの構造としてちぎりやすいのですが、それは相手にとっても同じことです。手を付け始めた当初全く歯が立たず結果として腕試しモードへの移行を余儀なくされました。
が、パターン性が強いことが分かって初めて解が見えてきたのです。
・敵はこちらを倒そうとしていること
・敵は開幕いくつか種類はあるがほぼ同じような動きをしていること
これに気が付いた時何かが弾けました。同じ入力をすれば同じ出力が返ってくるのはゲームとして当然のこと。すなわち開幕数秒間の動きの固定、その間にちぎりを発生させれば有利に戦えるという事実です。そしてこの際役に立ったのが相手のパターンです。ある程度ちぎりを意識して動いているんですよね。これをスパれば相手にダメージを与えることが容易になるわけです。
さて、相手のパターンをスパればちぎりこそ起こせますがこれでは後手なので改良が必要です。が、出力を一定にするためには同じ位置にバーを動かさなければいけません。ここが自分を最も悩ませた面でした。が、素晴らしい方法がありました。それが背景の目安線です。ここにバーを合わせることで毎回同じ動きにすることが容易になるのです。さらに恐ろしいことにその上でのちぎりパターンの作成は意外にも容易だったのです。良く出来た難関アクションやSTGではヒントとなる目印の出し方が絶妙ですが、今作でもそうだったのですよね。
これに気が付いてからは楽勝です。開幕A連打でその場で飛ばして2回下落としを決めて(この間一度もバーにボールを当てないので飛び方は完全固定)右端の目安線より一寸左にずれた位置に待機。あとは5列目右、9列目10列目をちぎれば終了です。
4戦目以降で登場した場合は一回下落としを決めて右端に着けて同じく5列目を落としてから動けば問題なしでした。

・パール&デール(5回戦で登場)
開始してからいきなりちぎりを起こせないというのが難でした。初めに思いうかんだ手は両端を削りちぎりを起こす方法で、これでもクリアはできたものの安定性にかけました。内部にボールを送り込めば効果的だとも思いましたがこの送り込み方で悩みました。
開幕その場飛ばしで下落とし一回決めて右端の目安線に位置、内部に飛んだら左端に着けるということで開始時のブロックだまりを処理できることを知ってからは楽になりました。また内部に飛ばなくても端で頑張るという二段構えで臨めるようになったわけです。
この安定化させる流れの構築は面白かったですねえ。

・ビー&オパー(ビーは6回戦、オパーは10回戦で登場)
開幕そのまま飛ばしても有効打にならないというのが悩みどころでした。特にオパーは下手に動けば猛攻が始まり即死です。
ここで相手と同じ動きではなくずらした動きを採用しました。ビーの場合は左にずれ、こちらに帰ってくるように飛ばしつつ3つちぎり下落とし、そのあと斜め撃ちによりいくつかのブロックをちぎるという方法で、オパーの場合は左の最も近い目安線に乗っかり飛ばして下落とし、その後とにかく高速でちぎり両端を削るという方法を取りました。
この二人はまだパターン改良の余地があり難しいところです。

・パーズ(11回戦(ラスト)で登場)
ラスボスなだけあってあまりに強力です。開幕その場飛ばしで下落とし決めて特大ちぎりを起こせることには容易に気づきましたが大問題がありました。パーズ様も同じ動きをしてくることがあるのです。
しかしここで有効打がありました。パーズ様の攻撃パターンは左を集中的に埋め尽くすもので、右の方はがら空きなのです。すなわち、斜め撃ちの出番です。ゆっくり斜めに飛ばしてスペースを広げつつちぎれば、パーズ様は勝手に倒れていきます。
この戦略の立案と実行は楽しかったですねえ。

以上お話モードアーケードの具体例でした。
極めて強いパターン性、難関の設計とそれに対する対処の誘導の上手さが少しでも伝わればうれしいですね。

キャラクター性能はかなりの差があるように感じます。パーズ様やサファイア様などあまりに強力です。一方ガーネットやルコ様などはかなりの貧弱さです。
注目すべきは「強いキャラは目安線が見えにくい」「強くないキャラは目安線を認識しやすい」という事実です。目安線によるパターン化のしやすさは前述したとおりです。つまり、強いキャラはキャラ性能で、弱いキャラでもパターン化により攻略が可能になっているわけです。愛があればどんなキャラでも戦えるバランスであること、これ以上に優れたバランスが存在するでしょうか?

さて、ここまでパターン性が強いことを記述してきましたがこのアーケードコースで最も面白いのはパターンが崩れた時のフォローかもしれません。毎回同じ入力をすれば同じ出力がされると言えども人間なのでミスやずれがあります。弾道が狂えばそのパターンをもう捨てなければならないわけです。
ここで必要なのがアドリブ、すなわち見てどうするかという部分です。斜め撃ちしていれば生存できますがそれでは勝てずリスクを背負ってでも縦に飛ばして素早くちぎりを決めにかかるわけです。弾をよく見て瞬時瞬時の判断で動き、ちぎりを起こしていく。この面白さはブロック崩しの面白さそのものです。
強いパターン性とそれが崩れた時のアドリブ性。この二つの両立こそがこのゲームの醍醐味ではないでしょうか。

○難点
・パターンが作れなければ即死という局面があまりに多すぎる印象です。中盤~終盤はともかく序盤で登場するシストなど、いくらなんでもやり過ぎではないでしょうか?
特にシストの設計に関してはかなり疑問です。知らなければ地獄、知ってれば楽勝というキャラを1~4戦目で多く登場させるのは性質の悪い初心者殺しのように思えます。

・パターン性が強いということは逆に適当で何とかなるゲームではないということです。
腕試しと同じくプチカラットは難しいと思われる要因になってますね。

・1クレジットで長く遊べないことです。腕試しが10~20分程度プレイできるのに対しこちらはAllすることを考えても10分未満でしょう。おまけにやり込むほどに各キャラ速攻撃破につながるためプレイ時間が短くなりがちです。序盤のシストに負けたりしたら1分持たないことすらあり得るので劣悪にも思えます。
アーケードゲームの面白さに長くプレイできるようになるというのがあると思うのですが、お話モードはこの点を少し軽視している印象です。インカムとの兼ね合いもあったんでしょうが…

・アーケード基板版だとパトラ子乱入があるみたいですがPS版のアーケードだとありません。
ここは純粋な欠点ですね。

・パトラ子を使用した場合11人ではなく12人を相手にする必要があります。
結果的に難化してますね。

2-2-2.オリジナル
アーケードとは少し異なる会話になったり攻撃パターンを変えられたり対戦順を変えたりできるようになり別物と言えます。
個人的にはあまり面白いとは感じませんでした。マップがキャラにより固定ではなくなりマップをみて戦術を考える楽しみがなくなったこと、パターン化の軟化が激しかったことが理由です。開始時ちぎりを決めにくくなったのも痛く、どうにも難しすぎるという印象でした。
また攻撃パターンを変えられることが影響し、クリアだけならパーズ様一択となっているのが誰でも戦えるバランスであったアーケードに対して残念極まりないです。
アーケードと同じものを出しても仕方がないという意図は痛いほど分かるのですが、その設計が自分に合っていないこと、これが残念でした。

2-3.タイムアタックモード
3分以内に全列クリアを目指すのが主目的です。
初めはせかされるためあまり面白いとは思いませんでした。キャラの演出もなくなりさびしいですし。
が、マップの読み解きとそこからの戦略を立てるのはやはり面白かったのですよね。本編2モードと比べると見劣りこそすれど、アリな完成度と感じました。
クリア時はレースクイーンとしてキャラが出て盛り上げてくれます。可愛いです。あと、マニアの難易度がギャグなのもポイントでしょうか。

2-4.ずんずんモード
ミスするまで永遠崩すモードですがこちらもあまり面白いと思いませんでした。ほんとにだらだらやるだけなので…。キャラがちびキャラになり演出が弱体化しているのもマイナスです。
____

3.外面的感想

ここではキャラクターなどの感想が主です。筆者はあまりキャラ要素を重視していません(ので後回しになってしまいましたが)。
重要なのはそれらがゲームとしてどう機能しているか、ですよね。

プチカラットはF3基板で生まれたタイトルです。このF3基板の特徴としてサウンド面とグラフィック面がとにかく凄いというのが自分の認識です(ダライアス外伝やレイフォース、逆鱗弾にグリッドシーカーとかそうですよね)。この部分がプチカラットもやはり優れてるわけです。
良く動いて多彩なアニメーションパターンと、これでもかとプレイを盛り上げるボイスが良いのです。本題のブロック崩しに支障が出るほど過剰では無く、要所要素でプレイヤーに沁みる作りであること。演出のなんたるかをよく分かっているタイトーだからこその作りです。
キャラクターもただかわいいだけでなく、動いて喋って使って可愛さが出てくるのがよかったですね。

3-1.ストーリー
科学と魔法が同居する世界にて12個集めると願いが叶う秘石を集める12+1人の物語が主です。キャラの掛け合いで話が進み、パズルでバトるとまあよくあるあれです。
基本的にはこれで完結していますが、特徴としては各キャラクターの設定面が異様なほどに重いということです。
両親を無実の罪で捉えられた少年。失職したメイド妖精、事故で両親を亡くした双子、獣化の魔法を喰らった夫と妻、その魔法をかけた長女、そしてその板挟みにあう次女、家出少女……。ハッキリ言ってゲームに合わないほど重いです(事実ゲームだけではこの重い設定にほとんど気づきませんし、気づいてもノリが軽すぎて入ってこない)。この妙な重さはタイトーらしいといえばそうなのですが……。この設定を押し出していないことも、何とも言えない感情に拍車をかけています。
物語的には漫才デモみたいなもので特筆することはないのですが、面白いのは関係が深いキャラとの掛け合いです。家族であるシスト、サファイア、ビー、ペリードットの各々のキャラを使った時の各々のやり取り、兄と妹であるパーズ様とアクアなどのデモはこの設定を生かした数少ない例の一つでしょう。

3-2.キャラクター
・ガーネット
元気な少年ですが両親を国家に殺されています。「風が呼んでるから旅に出るぜ!」という衝撃の始まりで筆者をビビらせました。
一応このゲームの主人公なのですが自キャラとして使う場合どうにもパッとしない性能です。攻撃パターンは強くなく、攻撃性能も平凡。上級者向けのキャラだと思います。
好きなセリフ…「かぁー日差しがまぶしいぜ!」

・シスト
気弱なメガネ少女です。「悪気はないの」「わざとじゃないもん!」とおどおどしながら言いこちらを殺しにかかる魔性の女です。コランダム家の娘でバラバラになった家族を元に戻そうとしている良い娘です。
攻撃パターンが反撃を喰らいやすいものなので、性能だけを見ると非常に厳しいキャラです。
好きなセリフ…「シスト、悪くないのに」

・アクア
パーズ様の妹で王都で洋服を集めています。アクア語と言われる独自の繰り返し言葉を多用します(ルンルンですわ! イケイケですわ!)。どこかにイケイケですわ!という言葉にそんな使い方もあるのか!と思ったり。
自キャラで使うとそこそこの性能ですが敵対した場合かなり強いです。マップとの兼ね合いもあるんでしょうが…
好きなセリフ…「イケイケですわ!」

・シーモンド
おそらくはこのゲームで屈指の人気キャラです。可愛い見た目にメイドで妖精とオタの萌え殺しが激しいです。ピンチ時の「いじめないでー!」のボイスのシンクロ度から自分のメインキャラでもあります。
性能はいたって普通ですが最大の特徴は小さくて常に浮いていることから背景の目安線が完全に見えることにあります。パターン化を行いやすく、最強キャラの一角です。
好きなセリフ…「いじめないでー!」

・ラルド
科学少年。おとなしく気弱な感じですが科学をバカにするととんでもないことになります。ハッハッハッハー!と連呼して電気を流してくる様は恐怖です。
攻撃パターンは最強の一角で強キャラの部類です。敵対するとかなりに難儀な相手でもあります。
好きなセリフ…「科学は万能だよ」

・パール&デール
姉のパールと男の娘のデールの双子です。喋るのはもっぱらパールですがピンチになった時「姉さん…危ない!」とパールをかばうデールがとにかく可愛いです。
攻撃パターンはラルドの逆ということで最強の一角です。さらには敵対した場合マップもきついと恐ろしい強さでこちらを翻弄してきます。
好きなセリフ…「なかなかってところだしぃ~!(パール)」「姉さん…危ない!(デール)」

・ビー
謎のマスコットキャラですが正体はサファイア、シストの父です。ボビボビと喋ります。バビバビバビビー!とかバビバビブベブベ!が自分の好きなセリフです。
性能はパーデに似てるものの攻撃能力がどうにも中途半端です。対して敵対するとマップ構造がえげつなくかなり強いです。
好きなセリフ…上に書いた。

・ペリードット
お色気バニーガールですが正体はサファイア、シストの母です。「気持ちいいわぁ~ん♪」「最高だわぁ~ん♪」などプレイヤーを気恥ずかしくさせるセリフをこれでもかと放ってきます。
性能はビーやパーデに近くそれなりに強目です。
好きなセリフ…「あぁん、しびれちゃうン♪」

・サファイア
シストの姉でビーとペリードットの娘です。キレてビーとペリードットに魔法をかけた張本人です。性格もきつめ。シーモンドに蛾とかハエとか…
性能は恐ろしく強く最強の一角です。パーズ様より一列多く埋め尽くすため防御力も高いとほぼ隙がないです。
好きなセリフ…「秘石はおもちゃじゃないのよ」

・オパー
昔は国家につかえてましたが老化によりお払い箱に。そしてなぜか体を鍛え筋肉ムキムキになったというアグレッシブジジイです。更には両刀でホモでもあると今作屈指のネタキャラです。気に入らないとすぐに説教しだしたりします。
性能は凄まじく強い上にキャラ自体の迫力も恐ろしいため最強の一角です。敵対した場合ここにマップの難解さまで加わり桁が違う難易度と化しています。
好きなセリフ…「男も好きじゃー!」「説教じゃー!」

・パーズ
見た目こそ真面目でインテリな野心家ですが、その正体は今作屈指のネタキャラです。ポエム染みた喋り方に加えてパーズ語録など異様な存在感と巧みなワードセンスでこちらの腹筋を破壊しにかかってきます。設定面でも家にこっそり仕送りしていたりとギャグを仕込んできています。
ラスボスなだけあって性能は高いのですが防御力があまりにも低いため強いんだか弱いんだか分からないキャラです。敵対してもそこまで苦戦しません。
好きなセリフ…「ふっ…狭いな」
好きな語録…「フッ…心は抱き合って決して離れない…おのれの力も同じく…」「フッ…科学の灯火は人類を退化させる…」「恋とは幻影…一時の情で滅びる不幸なものだ…」「愚かな人間は迷う…私は愚かでは…ない…」

・ルコ
家出少女。お供の謎の生物クミクミと一緒に戦う。舌足らずでレディをレリィと言ったり、○○なのよさーという言葉使いが可愛らしいです。
性能はかなり悲惨でシストと同じく厳しいキャラです。敵対した場合では苦戦せずに勝てる数少ないキャラでもあります(他は理屈がわかったシストとパーズくらい)
好きなセリフ…「ルコ様の力なのよさー!」

・パトラ子
クレオパトラフォーチュンからの参戦キャラ。今作でもコスプレは健在(しかし腕試しモード中心)。隠しキャラで出現方法も結構難ありですが、バーがミイラになったりと可愛らしい要素多めです。
隠しキャラなだけあってそれなりに強いですが真ん中ががら空きでマップによって裏目に出ることもしばしばです。敵対した場合はそこまで強いわけではないと思います。
好きなセリフ…「すごいですぅー!」

3-3.音楽
音楽は安心と信頼のZUNTATA担当でYack.さんが全曲手掛けています。ゲームがゲームなだけにメタルブラックであったりあるいは旋光の輪舞といったタイプとは異なる楽曲でまとまっています。可愛らしい楽曲から穏やかな楽曲、楽しい楽曲まで様々です。各キャラクターをバシッと表した各キャラテーマ曲も素敵です。あの世紀の名曲「SHININ' QUEEN」もアレンジが加わって登場です(原曲より幻想的になっております)。
聴き飽きない音色とメロディ、これがプチカラットの音楽の魅力と言えます。腕試しモードなど、何ループもするのにもかかわらず全く飽きず気持ちよくなれるんですよね。各キャラのテーマ曲にしたってそうです。試合は性質上恐ろしい速さで決着がついてしまうこともあるのに、長めにいろいろ起伏がある曲もあるのです(パーデのテーマとかシーモンドのテーマとか)。苦戦している時には曲が盛り上がるなど、計算され尽くされてますよね。この辺のシンクロ度合いは流石のZUNTATAでYack.さんです。
楽曲では先の腕試しモードのテーマやパーデのテーマ、シーモンドのテーマに加えてGo Go West(ガーネットのテーマ)、Bad Moon(サファイアのテーマ)などが好きです。
____

4.総論
ブロック崩しが本来持つ面白さに加えてそれを引き立たせるちぎりのリスクリターン性、厳密なパターン化とそれが崩れた時のフォローによるアドリブ、戦略性とその自由度。この側面こそプチカラット最大の魅力だと自分は考えます。
パターン化に至るまでの流れの親切さ、それを可能にしている弾道の少なさと把握のしやすさ、パターンが崩れた時の気合感。この過程が本当に面白かったのです。これが短時間で濃密に味わえること、それがプチカラットだと思います。
そして重要なのがそのゲームを盛り上げてくれる各所の演出です。可愛らしく、そしてよく動きよく喋るキャラクターとプレイを盛り上げる音楽。これらがあってのプチカラットなのです。初めはプレイするのに多少の気恥ずかしさこそあれど、それらが完全に機能していることの素晴らしさと言ったらないです。


これでプチカラットに関する現時点での自分の所感はほぼ全て書き尽くしました。
これほどの傑作を送り出した制作スタッフ、タイトー、ZUNTATAなどに感謝しつつ、これからも今作が多くの人に愛されることを大きく遅れてハマった1ファンとして願います。





0 件のコメント:

コメントを投稿