2018年8月5日日曜日

ドンキーコングAC感想文

10万点出せたよ記念の感想です。まだまだ道半ば感だけど、ひとまず一区切りということで。プレイ自体は頻度落としても継続予定ではあります。
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DATA
発売 / 開発 :任天堂/任天堂、池上通信機
登場時期 : 1981/1999(N64)/2018(NS)
ジャンル : ジャンプアクション
機種 : AC/N64/NS

プレイ状況
・ドンキーコング64版にて任天堂コイン回収(2周クリア)
・アーケードアーカイブス版にて10万越え(進行度は5-3)
プレイは主にN64版(ドンキーコング64)、NS版(アーケードアーカイブス)。

0.初めに
その出会いはあまりにも鮮烈で衝撃的。そのゲーム体験はあまりにも強烈で刺激的。そのゲームは、ゲームセンターで輝いて見えた…とでも言えればよかったのだが、そもそもAC版発売の時に自分はまだ生まれてもないという。そのため自分は世代でもなんでもない人だ。ただ、ドンキーコング64を通したか細い線で繋がっていただけだ。
それでもこのゲームが自分に与えた影響は計り知れないほど大きい。ドンキーコング64で狂ったようにやった(やらされたともいえるが…)。これがやりたいからドンキーコング64を起動していた時もあった。それは何より今作が本当によく出来ていてなおかつ面白いからに違いない。
アクションゲームに必要なものを全て兼ね備えた、ゲーム黎明期の傑作がここにある。これほどの作品が1981年に存在したことが今でも信じられないくらいだ。

1.ゲーム内容
25m、50m、75m、100mの全4面構成でループ制の固定面ジャンプアクション。
スティックにてマリオ(このころはまだ虚弱体質)を動かし、Aでジャンプ。ドンキーにさらわれたレディを助けるべくとにかく上を目指していく。最終ステージである100mでは杭を全部取りドンキーを落下させることがクリア条件となる。

2.私的感想
ゲームをスタートするとドンキーがレディをさらって上へ上へと昇って行く、ドシドシとジャンプして鉄骨を斜めに曲げ「ニッニッニッ」と笑っているデモが流れる。まずこのデモが素敵だ。制約がきつい中で物語性を表現しつつ、プレイヤーに何をさせるかをこれ以上ない形で示している。
そしてゲームが始まるとドンキーがタルを真下に投げ、タルを燃やして火の玉が発生する。レディが「HELP!」と叫ぶ中ドンキーはひっきりなしにタルを投げつけてくる。この場面も凄い。ゲームのルールと目的をこれ以上にない形で簡潔に分かりやすく示している。レディのHELPと下から迫る火の玉の存在で「上に昇ればいいんだな」ということがデモとのつながりで自然に分かる作り。これがもう美しい。
そしてジャンプ。迫りくるタルを飛び越えること、飛び越えれば楽しげな効果音が鳴り響く。ジャンプすることが楽しく面白い。ジャンプアクションとして核となる「ジャンプすること自体が楽しい」というのを確立させていることが分かる。キャラを動かす楽しさとして、マリオを動かせばポコポコ音色が鳴るのも見逃せない素敵ポイントだ。

2-1.25m
ドンキーコングはこの面こそがドンキーコングなんだろうなと思う。一番人気が高くて一番楽しいステージがこれだ。適度なランダム性とパターン性、そこから導かれる戦略、アクションゲームの醍醐味が詰まっている。
タルを飛び越えて上を目指せばいいのだが、まず問題となるのがタル&ドンキーの気まぐれさ。タルがどのルートを通って落ちていくかはランダムだし、時にはドンキー自らタルをマリオに直接投げつけてくる。何も考えずに行けば討ち死にだ。そこでハシゴからからちょっと手を出すとそこにはタルは落ちて来ず、鉄骨に沿って落ちていく仕様を生かしていく。ハシゴから一寸手を出して機会をうかがい、ここだ!というタイミングで一気にマリオを走らせる。またハシゴを昇ってる最中にタルがきたら運が悪ければ死んでしまう。ここでも戦略性が効いてくる。ハシゴの近くでマリオを待機させ、タイミングを見て突破するという動きを自分は主に使っているが、男気出してハシゴを昇った方がいい時もある。この駆け引きがたまらない。
カービィの桜井さんはゲーム性をリスクとリターンという言葉で表現したが、ドンキーコングはこの意味でのゲーム性が非常に高い。あとで述べるが75mは恐ろしいまでにハイリスクハイリターンな駆け引きがあり、そして25mに至っては道中の全てがゲーム性の塊だ。タルに対してジャンプで越えるか、それともハシゴでやり過ごすか、どのタイミングで攻めるか、常に駆け引きが求められそれがこの上なく面白いのだからドンキーコング25mはアクションゲームのステージの中でも最高峰に位置付けて良い。
一時的パワーアップアイテムのハンマーも面白い。タルを破壊する超強力武器だが完全無敵では全然なくむしろもろいというのが効いている。後ろはがら空きだし上からの攻撃にもそこまで強くない。しかし上手く使えば最後の段に行くまでが格段に楽になる……。この辺の調整が本当に素晴らしい。

2-2.50m
FC版などではカットされたためアーケード版ドンキーコングを象徴するステージ。ベルトコンベア上を謎の物体が流れていき、真ん中のドラム缶から火の玉が再び登場する。
ベルトコンベア上を流れる物のランダム性がまず難儀だが、これをジャンプで越えるかそれともやり過ごすかの駆け引きが発生している。流れてない時はサクサク進めてラッキーだが、流れてきたときどうするか、ここが50mのミソだ。ベルトコンベア上ではマリオも流されるので上手く操作できない中、物体を飛び越えられた時の妙な快感。たまらない。
ハシゴをつたっていくと難しいが途中隙間をジャンプで飛び越えるとむちゃくちゃ楽というのも優れた調整。ジャンプすることが楽しくそしてゲーム攻略で極めて有効というのは素晴らしすぎるだろう。
50mの真価は高次周から始まる。1周目では火の玉一つなために簡単にクリアできるステージだが、3周目辺りからはそうはいかない。火の玉の動きのランダム性と、周回が進めば進むほど高速化してくること、その上周回を重ねるごとに火の玉の個数が増えること、これが非常に難しい。自分は開幕火の玉を左に寄せてから右側を攻めているが、火の玉の機嫌が悪いと即死したりもする。ビデオゲームの厳しさを教えてくれる存在なのかもしれない。

2-3.75m
マニアの中では75mが一番簡単とも言われるらしいが(本当か?)、自分の中ではこの面がドンキーコング最大の難関だ。幼いころは何度もここで死んだし、今は3周目や4周目で死に続けている。
上下を動くリフト、複雑なステージ構成、これまた気分屋の火の玉、そして超速で飛び交うジャンプ台…。鉄骨に頭を打てば死に、高所から落下すれば死ぬマリオの虚弱体質に涙しつつ、やはり難関はジャンプ台。普通に考えれば下から段々と攻めて、ジャンプ台が落下したのを見計らってジャンプしていき上を目指し、最後にジャンプ台の軌道を読みタイミングを読んでその一瞬の隙を突いて昇る。これが難しくも面白い。
この面大際の駆け引きは上から攻めるルートだろう。初めて見た時筆者は放心状態となった。かの25mワープバグを初めて見た時と同じくらい驚愕した。何ということはなく、2つ目の下に下がるリフトから大ジャンプを行い段々と昇る個所を全てスキップし最後のジャンプ台関門の手前までショートカットするだけなのだが、このリスク&リターン性は計り知れない。一瞬でも判断とタイミングを誤ればマリオは奈落の底、しかし成功すれば死線を越えなくて済む。リスクをかいくぐることで得られるリターンは果てしなくでかい。
50mの真価は高次周から始まったが75mは周回を重ねるごとに全く違うステージへと姿を変える。これこそが75mの恐ろしさだ。といっても見た目は何も変わらない。ただ火の玉とリフトとジャンプ台の速度が高速化しただけだ。しかし根本の解き方が全く違う。3周目からは2周目までと異なり最初の安全地帯から一気に進むことが出来なくなる。そこで今度はリフト付近の安全地帯までまずマリオを走らせ、そこで一時待機しそこからハシゴを昇りレディの所へ行く必要が出てくる。まずリフト付近の安全地帯へ駆け込むのだがジャンプ台の速度が超速なので更なるリズム性と観察力が求められる。そしてリフト付近からハシゴを昇る際にジャンプ台を「見切る」必要がある。このジャンプ台、手前側と奥側に分類できるのだが、どちらが来るかはランダム。そして手前と奥でジャンプ台の軌道が異なるのだ。これによりタイミングだけでなくジャンプ台自体を見誤るとミスしてしまう。この見極めが難しい。見極められても勇気がなければやはり死んでしまう。
4周目からはジャンプ台がほぼ2個セットで飛び交うようになり通常ルートからの攻略すらどうしたら良いか分からなくなる。しかし、ここで有効打となるのが上から攻めるショートカットルート。出来そうにないものはカットしてしまえば無問題となる。低次周ではテクニックであったものが、高次周で正攻法として機能するようになる。この発想には驚くより他ない。本当に奥深いゲームだ。

2-4.100m
いよいよドンキーとの対決だが直接やりあうわけではなくステージ中にある杭をすべて外すというパズル要素を含んだものになっている。敵は火の玉の代わりにおじゃま虫が登場するが性能的にそこまでの変化はない(火の玉よりも気まぐれな動きになっているが)。時間の経過とともに敵はズンズン増えていくため、最初の敵が少ないときが勝負。
100mの面白いところはルート構築とランダム性にあるのだろう。左から攻めるのがセオリーで、その後おじゃま虫をハンマーで倒して左側に閉じ込めるのがこの面のカギだが、まず杭を素早く外しつつ3段目のハンマーを取っておじゃま虫を撃墜するルートを作ることが面白く、そして構築したルートもおじゃま虫の機嫌次第で引き返したりしなくてはいけないのが中々。そして左の杭を外したら右の杭を外しにかかるのだがここでもおじゃま虫の行動で動居が変わっていく。パターン化は厳しい。動きを読んで最善手を考えマリオを動かす。ハンマーによる保険こそあるもののそれを使ってもやはり結構に難しい。しかし面白い。
他の面にも通ずることだが「クセはあっても型はない」ことがドンキーコングの魅力なんじゃないのかなと。ランダム性は確かに高いが、そこに対して知恵と工夫を駆使して戦っていく。その過程が面白く、そしてその度その度ゆらぎのようなものがあるからこそ、何度やっても飽きのこない名作なのだろう。

2-5.その他
グラフィックは、今見てしまうとどうしても流石にへぼい。当時としては圧倒的なモノだったのかもしれないが、当時生まれてもいなかった自分にとっては昔のゲームという感じに…
論点はそこではなく分かりやすいキャッチーなキャラクター性だろう。一目見てマリオと認識できるキャラクター性。制約が極めて厳しい中少ないドット数でこれだけ存在感あるキャラクターに出来たのは凄い。マリオのやられモーションやドンキーなどのコミカルな動きも見てて楽しく、レディも可愛らしい。
音楽もやはり容量の都合かミニマルミュージックにとどまっている。ハンマーBGMは唯一その枠を飛び越え強烈なメロディとリズムを味わえる。このハンマー取得時のイケイケ感の演出は流石だ。
ドンキーコングは音楽よりもSEの方が印象深いだろう。ポコポコと楽しい音色に、ナイスなプレイが飛び出せば楽しげな音色が鳴り響く。この音色こそドンキーだ。
難易度は、1周だけなら多少の難しさはあるが容易な部類だろう。周回することを考え出すと、エクステンドが1回きりというのが重くのしかかる。2周目以降はおまけと言えばそうだが、もう少し配慮しても良かったのでは?とプレイヤーとしては思う。インカムとの兼ね合いを考えるとこれが最善手だとも思うが……

3.移植など
筆者はAC実機でドンキーコングをプレイしたことはわずか数回程度だ。そのため移植度の高低は詳しくは分からないことを前もって言っておきたい。またここではFC版などは取り上げずあくまでも筆者がやったアーケード版がプレイできるものを取り上げる。

3-1.ドンキーコング64
ゲーム内ゲームとして収録。バージョンは後期版だろう。当時としても今見ても移植としては極めてよく出来ているのではないかと思う。グラフィックこそ細かいところがちょいちょい違うものの、後述するがアケアカ版に対して音色の再現もある程度完璧だ。レア社の技術が光る。
ゲームとしては、意味不明な難易度上昇措置があまりにも痛い。マッドファクトリーでプレイできるものは、1クレ3機(残2)で始まったアーケード版に対してどういうわけか初期残機が1(残0)からスタートする。このため、1周目にも関わらずミスが許容されない事態になっている。一体なぜこんな仕様にしたのか…当時のレア社の考えが謎すぎる。
更にドンキー64本編をクリアするにはこの仕様で2周クリアしなければならない(1周目をクリアすれば次からは2周目仕様になる)こともきつい。いくらなんでも滅茶苦茶だ。ゲーム自体は本当に面白いのだが……

3-2.NSアーケードアーカイブス
スイッチのアーケードアーカイブスとしてまさかの復刻を果たした。前期版、後期版、海外版の3つを収録。その移植度は究極でオンラインランキングにも対応。今でも戦えるソフトであることをハッキリと示している。
プログラム、グラフィック的な移植度は完璧に近いものだが、唯一サウンド面で完全再現が出来ていない。具体的にマリオの歩行音が平均的な音色になっている。実機では高音になったり低音になったりと様々な音がきびきびと出ていた。効果音を担当した田中宏和さんのインタビューを見ると、ドンキーコングのマリオの歩行音はコンデンサの充放電を利用して音色が変わるよう調整していたようだ。流石にアケアカでもコンデンサの充放電の仕様までは再現出来ないか…と思う一方でプレイヤーを楽しませるならとことんこだわる任天堂の精神がここに見られる。素敵なエピソードだ。
一方アケアカに対してなぜレア社版ドンキーコングは音色までほぼ完璧に移植できたのかという問題も出てくるが…

3-2-1.前期版
伝説となった首ちょんぱワープバグが使えるバージョンである。これにより25mを速攻でクリアできるようになっているが、このバグ自体の難易度もそれなりに高い。他にも後期版との違いはあるのかもしれないが、筆者にはよく分からず。

3-2-2.後期版
ワープバグを修正したバージョンである。最もスタンダードな出来であり筆者にとってはこれがドンキーコングだ。

3-2-3.海外版
後期版にある程度の仕様は準じているがその構造は大きく異なる。1周目はなんと25m、100mの2面。2周目は25m、75m、100m、3周目でようやく25m、50m、75m、100mと日本版と同じになる。と思ったら4周目では25m、50m、25m、75m、100m。5周目以降で25m、50m、25m、75m、25m、100mという構成のようだ。結果として最もスコアの伸びが良いバージョンになっている。
調整の違いとしてハシゴからちょっと手を出してタルを防ぐテクニックが使えなくなっている(らしい、というか気がする)。このためもっとも難しいバージョンだろう。このテクニックは駆け引きをアツくしていたので筆者にとってはあまり腑に落ちない調整である……。



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