2018年2月28日水曜日

UFO-a day in the life-感想文

ラブデリックの2作目「UFO a day in the life」の感想です。
以下長ったらしくグダグダ書いてますが結論言うと「凄くよかった!本当によかった!」ということしか書いてないので流し読みでもしてくれれば幸いです。
個人的には数年に一度クラスの傑作でありこういう作品がプレイ出来たのは嬉しいことこの上ないです。時間と根気のある人にオススメ。
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DATA
発売 / 開発 :アスキー/ラブデリック(UFOチーム)
登場時期 : 1999
ジャンル : 宇宙人捜索バラエティ
機種 : PS

プレイ状況
・合計約30時間ほどプレイ
・エンディングまで到達(乗客50人+乗組員+ブラックコスモ全員救出&逮捕)
・謎解きは2カ所ほど挫折(チムニィ、メタモール)
・経費節減モードは現在進行中

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構成
1.初めに
2.ゲーム内容
3.難易度について
4.その魅力は
5.個人的感想
6.UFOとは何だったのか
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1.初めに
始める前の準備と心がまえ

宇宙人救出の方法と対策
1999年7の月、チャハヤ星系「チキュー」に宇宙旅客船「ダイマ・オー」が墜落し、乗客50名が行方不明となる事件が発生した。地元猟友会のハンター20名を含む総勢300人に及ぶ捜索隊を編成し、町をあげての大捜索がおこなわれた。それにもかかわらず、1人として発見することができなかったために、捜索は深夜半過ぎに打ち切られ、捜索隊の一行は翌日に控えたタケノコ堀りの準備のため帰宅した。捜索打ち切りの連絡を受けた宇宙人管理局は、すぐにCD-ROMを焼き、各方面へ¥5,800で配布するとともに協力を要請。このプログラムはプレイヤーがゲームを開始すると捜索が開始される仕組みになっている。

○捜索の手順
1)母船より事故地点へ降り、不審な場所を撮影する。
2)管理官(マザー)に写真の確認を依頼し、乗客が写っていれば乗客名簿と照らし合わせ、救出される。
3)確認が不十分な場合は再度調査のため現地へ降り、捜索を続ける。
以上の行程を繰り返すことにより全員を無事救出し本国へ帰還する役を負うものである。本書はその方法と手順について述べられている。

説明書の最初にお読みくださいの次のページに書かれている文章がコレです。説明書からして他のゲームとは一味も二味も違うものを魅せつけています。少なくともここまでこだわって作られた説明書は自分は見たことがありません。説明書のクオリティだけでもかのテンゲンの説明書に匹敵するほどの開発スタッフの熱の入れようが伺えます。初めてですよ、説明書を読んで感動するって経験は。
アパートに墜落した旅客機の乗客50人をレスキューするのが主目的の宇宙人探索バラエティゲーム。とある事情によりその救出は慎重を期さなければならず、その上乗客は飛び交う電磁波とフロンガスの影響により肉眼で姿が見えません。怪しい空間めがけて写真をパシャリ、撮った写真を撮影し照合することで救出を行っていく独自の内容が光ります。
救出する乗客の宇宙人はとってもキュートで素敵です。moonでも見られた温かみのある粘土ジオラマグラフィックで描かれた宇宙人たちの外見と仕草、そしてそのセンス。勉強を見てる乗客の名前は「シンケンセミ」、見た目からして裸の大将の「キヨシ」、トレーニングを欠かさないで全速力で廊下を走る「ルイスくん」、くすっと笑えるような名前で楽しませてくれます。非常に楽しげです。
乗客だけでなく、舞台となるアパートの住民たちも本当に魅力的です。101号室では愛憎入り乱れるおとーちゃんおかーちゃんムスコが、102号室ではヤクザの黒服と病に倒れるおやっさんが、103号室では黙々とパソコンと向き合うハッカーが、105号室にはナルシストで芸術思考の金髪が、201号室にはいたって普通のリーマンが、202号室には住民に絵を描いてあげたりしている画家が、203号室には化粧をすることで姿が激変するOLが、205号室には筋肉と友情を愛するマッチョが。彼らの生活を覗き見ること、それが非常に面白く楽しいのです。moonでもキャラクターストーキングのその面白さは健在でしたが、それは更に磨きをかけ進化したと言っても良いでしょう。見ているだけでも本当にうっとりするほどに楽しく惹き込まれるシーンの連続です。
唯一惜しむべきはその難度の高さでしょう。とてもじゃないですが、ノーヒントで多くの人がクリア出来るような代物ではありません(自分も2体ほど無理でした)。「見えざるものを見よ」と言うこともあり、見えなければ一生見えないと言っても過言じゃないほど、気づかなければ絶対に気づかないようなものばかりで。絶妙なヒントの明示こそあれど難解な謎解きも多く、加えて待ちの要素も多いです。事が起きるまで1分半何もせずひたすらに待ち、事が起きるのはわずか一瞬1秒にも満たないあまりにも短い時間、それを逃したらまた1分半待ち続ける。このようなことをただひたすらに繰り返します。自分のプレイタイムの1/3はおそらく何も起こらない画面を見つめていた時間と言っても良いでしょう。
見えないものを見るために頭を使い知恵を使い真剣にゲームと向き合うことが求められる。ゆるふわな雰囲気を醸し出していますが、要求されることはおそらく数々の難関ゲームと変わりないレベルの過酷さ。漢のゲームとも言うべき代物です。少なくともストップウォッチを引っ張り出してきてタイミングを取ったりしつつゲームをプレイした経験はこれが初めてでしょうか。
しかし、ここまで真剣にゲームと向き合わせてくれるだけの世界をUFOは持っているのです。難しいだけで終わらない全く新しくそれでいて奥深い内容と魅力的な物語を持った稀有なゲーム、それがUFOというゲームなのです。
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2.ゲーム内容
先に記述したようにアパートを舞台に宇宙人の乗客50人を捜索し救出する宇宙人探索バラエティゲームです。ラブデリックといえば言わずもがなのラブデ系RPG(戦闘に主軸が置かれていない、そもそも存在していないRPG)……では無くラブデリックが制作した作品ながらRPGの文脈とは切り口をがらりと変えてきた作品で、「見えないキャラクターを撮影する」というこれまで類を見ないほど独自なジャンル及び内容になっています。少なくとも似たようなゲームを自分は知りません。
操作キャラであるタコ型宇宙人を操作しテコテコとアパートの住民の部屋及び廊下を歩き回り、カメラを使って透明状態の乗客を撮影していくわけです。また、ただ撮影するのではなく特徴的な姿を捉える必要があります(通称ばっちシーン)。このばっちシーンをその乗客だと確定出来るまで集めることで救出がなされるわけです。乗客の姿を一度でも捉えると拠点からばっちシーンの内容のタイトルが確認出来ます。これを頼りにばっちシーンを撮影していくわけです。
さて撮影しようにも透明状態なのでそもそも撮るに撮れないじゃんとなるわけですが、そこでヒントになるものが二つあります。一つは左上の方に出現するコスモセンサー。乗客が出現している時に点滅して居ることを知らせてくれる優れものです。そしてもう一つがこのゲームの核でもあるアパートの部屋の様子、住民の行動にあります。例えばある空間に向かって猫が鬼の形相で叫んでいる、そうした場合その視線の先には宇宙人が隠れていたりするわけです。これはほんの一例で、勉強している住民が足を痺れさせたりしている、何もないところで住民がすっころんでしまっている、何もしていないのに勝手に絵が落書きされている、何も無いのに自転車の明かりが点灯、煙突から煙が、などなど絶妙に「何かが怪しいな」と思うところが観察していると分かるようになっています。これを頼りに乗客を撮影していくのです。
展開されるのはタイトル通りアパートのある一日(AM00:00~PM11:00)。拠点から行きたい部屋と時間帯を決めてそこを探索していきます。行動可能時間はゲーム内の時間で1時間(実際の時間では約2分)。この1時間以内でその場で起こる出来事を観察していくのが流れです。10枚写真を撮ると強制的に拠点に戻りマザーに写真照合を行います。1時間経過した場合は時間を巻き戻すか他の部屋時間帯に移動するか拠点に戻るかを選んで探索を繰り返します。こうしてひたすらに画面を観察してパシャパシャと写真を撮りまくるのが今作の主な流れです。
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3.難易度について
何をもって難しいと判断するかは諸説ありますが、UFOが難しいゲームであるという事実はプレイした人全員がおそらく思うことでしょう。とにかくただひたすらに難しく、その上その難しさはアクションやシューティングなど他のゲームにおける難しい状態とはかけ離れていることにあります。
まず第一に透明のキャラクターを発見するのが難しい。怪しい場所などを撮影していくわけですが明確にここが怪しいって箇所が分かりにくいと言いましょうか。怪しい場所を集中的に撮影しようにも撮影範囲が割と狭いこともあり中々見つからず、更には怪しい場所が無くてもコスモセンサーが点滅してる場合もあり、その場合は手当たり次第に撮影していくことになります。そして発見できてもばっちシーンを撮らなければ意味が無いのも響きます。
これが本当に大変で。「見えないキミを探すボクには、六畳一間は宇宙の広さ」というのは今作のCMソングですが、本当にアパートの一室が広く感じられるのです。空間的に広く、そして時間的にも広い。時間をあちこち移動して真剣に画面を直視して観察しなければ発見することなどまず不可能。
次にばっちシーンを取るのが難しい。ばっちシーンのタイトルから推察できる宇宙人もいればその意図が分かりにくい宇宙人もいたり、そもそも透明なのでその宇宙人が何をしているのかは写真で撮りつつその行動を予測推測しなければいけないわけで、この上でばっちシーンを撮るのは厳しいものがあるでしょう。
何より厳しいのはその瞬間を捉えること、でしょうか。ばっちシーンがわずか一瞬しかないという宇宙人もかなり多く、その瞬間を捉えるには反射神経、もしくは正確なタイミングを計ることが要求されます。一応タイミングを計るための材料はちゃんと用意されてはいるのです。右上の方に一定時間経つとどのくらい残り時間があるかが表示されるコスモタイマー、キャラクターの息づかいやいびき、足音、音楽、効果音、ある部屋では時計、これらでタイミングを取ってくれと言わんばかりの材料がそろっているのです(そしてこれらの材料を総動員して撮影するのはこの上なく面白くもあるのです)。しかし、これらを総動員してもなお撮影が難しい者もいるというのが実情と言わざるを得ないわけで。最終的に自分はストップウォッチを引っ張り出してきてタイミングを取ったりしていました。つまりはそれほどのものだということです。
とどめに待ちの要素が極めて強いということです。空間内で行動可能なのは約二分ということは書きましたがその部屋でアクションが起きるのが1分45秒頃だとするとその瞬間が来るまで待つことになります。そして撮影チャンスはほぼ一瞬。それを逃したら?当然、もう一度1分45秒程度待ち再びその瞬間を捉えなければいけません。これをひたすらに繰り返すわけです。何度も見ていれば何が起こるかはもう把握できているわけで、退屈にも感じられてしまうわけです。おそらく根気の無い人は放り投げてもおかしくは無いほど待ちの要素は強いと言っても良いでしょう。
moonの場合も待ち要素こそあれどMDの存在により好きな音楽を聴いてぼんやりしておけば良いわけでその時間に新たな音楽との出会いもあるというわけで待ちの時間は愛おしくも感じられましたが、今作の場合音楽が流れる場面自体が他のゲームと比較してかなり少なく環境音(寝息や足音などの生活音、キーボードを叩く音、鳥の鳴き声など)が中心のために待ち時間の暇つぶしが極端に少ないのです。これに加えて「何も起きない時間」も存在しており待ってみたけど何もなかったという場面が割と多くあります。この部分を許容できるかがカギになるかもしれません。

UFOがいかほど難しいかというのは明確化出来ないですが、間違いなくmoonでノーヒントで愛のビッグバンに到達することよりも難しいと言わざるを得ないでしょう。自分がプレイしてきたあらゆるジャンルのゲームの中でも何とかクリア可能な難易度の中では5本の指に入るほどには難しいと思います。単純な難しさもさることながら特に厳しいのが根気、つまりは精神面での要求に他なりません。心の目で見れば透明なものも見えるといえばそうなのかもしれませんが、見えない人もいるわけであり。この一点で万人に届きうる絶妙な調整だったmoonに対して、人を振るい落とすようなものになっているのが非常に残念ですね。
特に難しいのがコスモセンサーが機能しない乗客二人でしょうね(人によってはタイミングが一瞬系の乗客も入るかもしれません)。一人はともかくもう一人は「流石にこれはアウト」と言わざるを得ないほど「卑怯、悪辣」な謎解きになっており、ヒントこそあれど流石にこれは厳しすぎるのではと思います。同時間をくまなく観察し執拗に住民ストーキングを続ければ答えは分かるのは確かにそうではあるのですが……
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4.その魅力は
辛いことばかり書いてしまいましたが、ただ辛いだけのゲームというわけでは決してありません。難しくて辛いだけならクリアせずに放り投げています。難しくてもやり続けたのは今作が本当に面白く、楽しく、なおかつ素晴らしいゲームだったからに他ならないわけで。
まずその独特のゲーム体験を挙げましょう。見えないものを撮影するという前代未聞のプレイ体験はまさしく今作でしか味わえないものでしょう。似たゲームが一切なく、また他のラブデリック系RPGとも違う体験になっていること、それでいて難しい操作の類は一切存在せず、普段ゲームしないような人でもスッと入り込めるような仕上がりになっているのは、ある種の奇跡だとも思います。
そしてその見えないものを撮影するまでの謎解きのような過程は極めて面白くそれでいてかなり(と言う言葉では足りないほどに)骨太な体験になっています。コスモセンサーを頼りに写真を撮りまくり、乗客を見つけたらばっちシーンリストを確認、ゲーム画面を直視し観察しどこで何をしているのかを撮影しつつ考え、住民の行動に目を配り、音楽や効果音に注目し、ここぞというタイミングでばっちシーンを撮っていく。この視覚と聴覚をフルに活用することが極めて面白い。特に注目すべきは聴覚の利用ですかね。少なくともこのレベルで効果音から音楽まで気を配ってプレイした作品は思い浮かばないほどに使います。
そしてラブデリックならではの「キャラクターが生きている」。moonでもいかんなく発揮していましたが、更に磨きをかけたと言っても良いでしょう。アパートの各部屋に住む住民の行動は本当に面白く、非常に観察しがいのあるものになっています。これを眺めているのが極めて面白く、そして今作の本当の目的はこの住民観察にありと言い切っていいほどです。この部分に関していえば(4)、および(5)も参考にしていただければと思います。
このキャラクターが生きているということを表現しているのが演出面になります。これが凄まじい出来でありまして。画面上のキャラクターの動き、音楽、効果音、全てがシンクロしたそれはもう言葉では表せないレベルの完成度で。しかもこれが見えない乗客を見つけるというゲーム内容に絡んでくるのだから凄い。このシンクロ度合いがよく分かるのが序盤の203号室AM00:00~AM01:00でのOLの電話のシーンや105号室AM01:00での金髪がワインを飲みながら自画像を眺めているシーンでしょうか。
前者はOLが「マジ?」「ふーん」「どうよ」「嘘」「ダメ?」「えー!?」と電話で言ってるシーンですが、そこで流れる音楽はやけにスリリングなものであり、餌をねだる白猫と電話中のOLの攻防とその時の曲展開が極めてシンクロしています。その後の重々しい曲展開とOLの動きも目が離せなくなるほどのものがあります。
後者は今作ならではの演出とゲーム性がかみ合ったまさしく名場面です。透明宇宙人の手により自画像が落書きされ、ワインを盛大に噴き出しショックのあまりにわなわなと体を震わせその場に倒れ込むまでの曲展開とアニメーションのシンクロ具合、そしてそこに隠された乗客救出のヒントが凄まじいまでの完成度を誇ります。
またキャラクターが生きているというのがいかんなく発揮された結果今作はもう記号化出来ない世界の面白さがあると言っても良いでしょう。良く出来たゲームは記号に置き換えても面白いとは言いますが、今作はもうキャラの動き、アニメーションから音楽、効果音に至るまで全てがゲームシステムに絡んでおり、今見ても新しいゲーム体験が成立していると言っても良いと思います。このレベルで調和させた作品は少なくともお目にかかったものは無いです。
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5.個人的感想

以下の文章にはUFOをプレイしていない人にとっては訳が分からない言葉の羅列が並んでいるかと思われます。おそらくこの先の文章はUFOが好きということ以外読み取れない言葉の羅列が続いています。何が何だか分からんと思った場合はその場合次の(5)へとお進みください。

・マザーのボイスの中でも「直ちに救出せよ」と「またね」の声がたまらなく好きです。
・経費節減モードのマザーでは「ばっどシーン」のボイスがたまりません。あんまり聞きたくはないけど。
・あの娘にレスキュウは口ずさむほどにいい曲です
・105号室AM01:00の演出が凄まじく好きです
・203号室AM00:00の電話の内容を想像するのが好きです
・なんだかんだで猫を可愛がってるOLと猫の関係が良いです
・画家のボイスの「すぃません」がたまりません。
・おとーちゃんの気を引く行動の滑りっぷりと行動のダメっぷりが情けなくも愛おしいです。
・101号室AM01:00おとーちゃんが電波ザルを引っ張り出してきてキーキーと言うシーンは邪魔してやんなやと思いつつも電波ザルが見れて好きです
・103号室のハッカーの生活感の無さとキーボードのカタカタという音、PCの動作音のうぉーんという音色の陰鬱さは、ほぼ何も起きない部屋でありながらも気にさせてくれます
・ラーメンを食べに行く金髪が好きです
・201号室のリーマンの生活の普通っぷりがたまりません。
・最初は「なんだこいつ全然ピアノ弾かねーじゃん」と思っていた金髪が楽譜を書いていたことに気付いた時の「あぁ!」というアレが良い感じです
・水槽に逐一何か話しかけるリーマンが可愛らしい
・102号室AM08:00で黒服がリンゴを剥くシーンでの音楽と画面との展開のシンクロ具合がたまりません。でも「お前が食うんかい!」と見るたびに思います。
・205号室AM04:00のネズミたちのサッカーのシーンはUFOの動物たちの生活シーンの中でも屈指の名場面だと思います。
・シンケンセミというネーミングセンスはたまらないものがあります。
・マブッチの行動を観察しているときに「透明の彼らも生きているんだ…!」と感動したりしました
・OLのお着替えシーンは妙なエロスがあります(カチャカチャという音やチャックの音が特に)
・202号室AM11:00で画家がさらわれるシーンは驚愕しました。が、その直前の「変だな?」というボイスが好きです。ついでにスリリングな音楽も良いです。
・(続)ここで出てくるモンドハンドがじゃんけんを示していると分かった時はもう脱帽してふっひゅわーと1分くらい放心状態になってこのゲームすげーとぶつぶつ言ってました(分かったのは実は終盤ですが)
・マッチョはどういう原理であんなマッチョになるのかが気になるところです
・キヨシのばっちシーンは「お、おにぎりなんだな」でもよかったような気もしますが流石にそれはギリギリアウトかなとも思ったりも
・101号室PM00:00でおかーちゃんが「お茶飲む?」と言うのがツボに入ってしまい、現実で母が「お茶飲む?」と言うたびにこれを思い出して変な笑いが出てしまいます
・ガブリヨリのばっちシーン「天国にご案内」でおやっさんの魂も見えてしまうというシーンは絶句し何かがぽっかり欠けたような喪失感を味わいました
・廊下PM02:00は間違いなくUFO最難関だろ!と思えるほどの瞬発力勝負なのが難ですがルイス君の救出も絡めてくる辺りの組み立て方は本当に素敵です
・そして救出により未来が変わった瞬間本当に安堵するほどに良かったと思いました
・205号室PM04:00でマッチョが画家を助けたと分かるのがたまらなく素敵です
・そのうえダンスまで魅せてくれるのだから素晴らしいです。楽しそうなマッチョと音楽に合わせて体をゆらゆら揺らす画家、踊り狂うマホイが良い感じです
・チムニィのばっちシーンはいくら何でも難易度高すぎだろうと思いますが音がヒントになっている辺りの調整は流石としか言いようがありません。ただもう少し分かりやすいヒントを……
・102号室PM04:00~PM05:00に突如やってくる赤さんは一体何者なのかと思わざるを得なく、狂気があります。出先で何やってるんでしょうねえ…
・201号室PM06:00で足をパタパタしながらラーメンを待つリーマンが可愛らしい
・初めてハッカーが喋る(というか笑う)シーンが好きです
・金髪がピアノを弾いた瞬間に寝る金髪の彼女はヒドイクソ女だとも思いますがそれでもなんか好きです
・101号室PM07:00での険悪なムードは中々に見ててハラハラするものがあります。パチンコばかり、呑んだくれて、どういうつもりですかというボイスが怖い。
・(続)その後のおかーちゃんが泣いている姿を見ると切なくなるものがあります
・(続)そしてOLに愚痴を聞いてもらうパートがこれまた良いです。OLの「ふぅーん」「マジぃ?」という相槌はどうなのかと思ったりもしますが。
・103号室PM08:00でハッカーの部屋に来て軽くハッカーに無視されつつもゲームに興じるリーマンがステキ。やったーという笑顔がたまらないものがあります。
・キャラスィンカーの本質を忘れてはいけません。頑張りますという言葉には強く頷かせるものがあります
・105号室PM09:00の乗客救出はいくら何でもこれはダメだろうと思わざるを得ないところがあります。せめてコスモセンサーを動作させてくれれば…
・乗客50人救出前にPM11:00に来てしまった時のやっちまった感と凄まじいバッドエンドが恐ろしいです
・廊下PM10:00での出来事は恐ろしく、歴史が変わって良かったと思うばかりです。
・PM11:00に流れる音楽の哀愁が凄まじく涙腺をこれでもかと刺激します。この音楽が流れる空間がたまらなく、これを見るためだけに今作をプレイする価値があると思うばかりです
・各部屋のオチでは101号室がやはり群を抜いて素敵です。おとーちゃんの優しさとおかーちゃんの表情、勉強しつつ仏壇の戸を閉めるむすこの、あの空間がステキにもほどがあります。流れるBGMも噛み合いすぎて泣けてきます。
・OLの部屋のオチも中々で、ああなんか良い感じになったんだなと思わせての最後の「マジぃ…?」には笑わせてもらいました
・エンディングのスタッフロールでちょっと各キャラ間の関係性が読み取れるのも凄く良いです
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6.UFOとは何だったのか
UFOの主目的は乗客救出であることは間違いないです。しかしそれだけのゲームでは非ず。
今作のタイトルは「a day in the life」、つまりある日の生活が描かれているわけです。そしてそれは我々の生活に限りなく近いものがあるわけです。
「なんてことない一日にも数々のドラマがあり、生活を送ることはこんなにも素晴らしく面白い」
ラブデリックは、UFOチームはこの事実を伝えたかったのではないでしょうか。
それぞれの住民が織りなす生活は極めて面白いものがあります。それは動きのあるものから無いものまで含めて。
101号室の一心不乱に勉強に取り組むむすこ。おかーちゃんは部屋の掃除をしたりお茶を飲んだり、OLの部屋でテレビを見させてもらったりあるいは愚痴を聞いてもらったり。おとーちゃんは酒ばっか飲んでパチンコばかりしているダメっぷりだけど最後にはホロリとさせてくれる一面も見せてくれたり。
102号室では病に伏せるおやっさんと看病する黒服たち、そしてそれを狙う殺し屋、更には警察、果てには赤ちゃんプレイに興じる赤さんなど様々な人々が出てくる動きある物語を魅せてくれたり。
103号室のハッカーは食事も睡眠もとることなく言葉を発することも無くひたすらにハッキングに取り組み、そして遂にはハッキングを成功させて。その時の「へへへ」という声とその悪そうな笑った表情からヤバいハッキングをやったんだと推察出来て。
105号室の金髪はナルシストで自分に酔って謎めいた行動を取ったりしつつもちゃんと植物に水をやったりきっちりしていて、不細工な彼女に翻弄されていたりするのが面白くて。
201号室のリーマンは普通にテレビみて普通に会社行って普通にラーメン大盛頼んで普通にちょっとタバコ吸ったり普通にジョギングしたり普通にゲームしたりと本当に普通の生活が繰り広げられて。
202号室の画家はある種日常を描いていた他キャラと違って謎の組織に攫われるという非日常体験に巻き込まれてしまうのと、その一方で金髪やマッチョに絵を描いてあげたり心優しい一面が垣間見えて。
203号室のOLは化粧をして激変する外見と、彼氏との電話でのやり取りで展開される物語が面白くて、それでいて最後のオチが非常に秀逸で。
205号室のマッチョは筋トレに勤しんでいながら謎の固形を食べてマッチョになり、画家を助けに行ったところが非常にカッコよくて、途中で披露してくれるダンス(YMCK)も本当に楽しげで生き生きとしていて。
UFOには所謂RPGでいう世界を救う壮大な物語は少ないどころかほとんど無いかもしれません。しかしアパートの一室また一室で繰り広げられる物語とドラマは自分にとっては劇的とも言えるほどに魅力的なものであって。いたって普通の箇所すら、全ての場面が名シーンと思えるわけです。リーマンが出前のラーメン頼んでゲームしてるだけでも面白く、ハッカーがキーボードカタカタ言わしてるだけでもこの上なく面白いのです。
UFO終盤ではアパート自体を襲う大騒動が発生し、そして最後の時間PM23:00では彼ら住民の生活が奪われるという大事件が発生します。その危機を回避して辿り着く本来のPM23:00での各部屋、廊下での出来事の光景を初めて見たとき自分は泣いていました。「嗚呼、自分はこの場面を見るためにこのゲームをプレイしていたのだな」とまで思いました。生活することの素晴らしさと面白さがこの瞬間には表れているのです。
そして更に、生きているのは住民たちだけでは無く透明宇宙人もそうだということです。見えない乗客たちも独自の行動ルーチンで動いていて生活しているわけです。「目に見える範囲以外にも生活は存在している」というのは当たり前の事実ではありますがそれを直接的に訴えた作品は多くない…というよりも自分は知りません。
moonにおいても生活は描かれそれは同時に大きなテーマの一つでもありました。UFOの感想からは大きく離れるので簡潔に言うと、moonは現実を生きることの最大肯定、そして現実を生きる人がゲームをプレイすることの惜しみなき賞賛が語られました。あるいは生活を破壊し惰性でゲームをプレイすることの非難が語られたとも言うべきでしょうか。UFOはmoonでは当然なく、そしてmoon2と言うわけでもありません。しかし根底にあるものは似ていると思います。UFOは、ある意味ではmoonのテーマの一つであった「生活」に焦点を当てそこを色濃く描き上げた作品なのかもしれません。

キャラスィンカーの言葉の通り、UFOの時代に比べてゲームはますます発展し、もう自分でもついていけるのかいけないのかと思えるほどに凄いことになりました。画面は豪華になり物語は派手になり規模は巨大化し面白くなっています。
しかし、やはり魂を揺さぶる作品には古いも新しいも関係ないようで、そういった作品に出会えることはゲーマー、ゲーオタ冥利に尽きます。
UFOは間違いなく自分の魂を揺さぶった、ラブデリックの魂が込められた傑作でした。moonに引き続き、忘れることの無い傑作をありがとう、ラブデリック。


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