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DATA
発売 / 開発 : UPL/UPL
登場時期 : 1989
ジャンル : 危険行為"強制"STG
機種 : AC/アーケードアーカイブス
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~唯一無二のゲーム性~
ゲーム性という言葉は非常にふわふわした言葉なのは周知の事実だが、そのもっとも著名な定義の一つが桜井政博氏の「リスクとリターン」だろう。要は駆け引きの面白さこそがゲームの本質というわけだ。そしていつの頃からかこの部分にこそ焦点を当てたゲームが登場することとなった。
例えば「サイヴァリア」「ライデンファイターズ」「レイディアントシルバーガン」。STGでありながら弾に近づくことで莫大なリターンを得るというのを面白さにしてしまった作品だ。ライデンファイターズはスコアしか絡んでこないが稼ぐことが自機のパワーアップに繋がるシルバーガン、そしてそれを完全にゲームの核にしてしまったサイヴァリアは攻略面でも重要だ。
あるいは「バーンアウト」シリーズ。対向車線を走ったり車をぶつかるスレスレのところまで接近するという危険行為を冒すことで爆発的なスピードを得る、大変素晴らしい作品だった。これらの作品は危険行為推奨ゲーとも言われたりする(シルバーガンはあくまで稼ぎの手段の一つなのでかなりタイプが違い全然言われないが……
そんな危険行為推奨ゲーだが、危険行為はあくまで推奨である。つまりリスクが怖ければやらなくてもいいのだ。危険を冒せば爆発的なリターンも得られるが一転してリスクに敗れるということも往々にしてある。というかそっちの方が多いんじゃないかと思ったりもする。危険なところではあえてちまちまやるというのも立派な戦術で、そういった緩急の塩梅を考えながらプレイするのもゲームの楽しみだ。
さて、ここで一つ考えてみるとしよう。もしもこの危険行為というのが「強制」であったとしたら?どれだけ危険極まりなかったとしても、生き残るためには危険を冒し続けなければいけないとしたら?……想像するだけでも恐ろしいだろう。しかしそのゲーム性は麻薬的なまでに高純度であるのも事実だ。
オメガファイターは、おそらくは史上初となった危険行為推奨STGであり、そして同時に唯一無二のジャンルである危険行為強制STGなのだ。唯一無二のゲームを作り続けてきたUPLの代表作である。
~虎穴に10倍で入らずんば虎子を得ず~
ゲーム内容はSTGなのであらゆる敵をデストロイすればいいのだが、そのシステムや世界観は類を見ないものになっている。
まずはパワーアップシステム。アイアンとワイドの2種類のアイテムがあり同アイテムを取り続けることでショットパワーが上がっていくが、アイアンとワイドの併用は不可能。例えばアイアンを持っているときにワイドを取ってしまえばワイドの1段階目に戻されてしまう。アイアンはショットの連射性能が爆上がりし火力がアップする一方で射程距離が短くなってしまう。ワイドの場合は名の通りショット幅が広がり敵の殲滅に役立つ…といえばそうなのだが今度は連射性能が下がり火力がダウンする、一長一短の性能になっているのだ。またパワーアップアイテム以外にスローと呼ばれるアイテムが存在。使用することで敵および敵弾にスローモーションがかかるようになる。
そして、オメガファイターを象徴する得点システム。敵と自機との縦軸座標が近いほど撃破時に倍率がかかるようになっている。最低1倍で最高は10倍。早い話敵に接近して破壊するとスコアモリモリ!というわけである。更に、10倍で敵を破壊した場合にはボーナスとして画面上部にあるゲージが増加する。これが一定値を超えることで使用すればあらゆる敵(ボス・ラスボスまでも!)を消滅させるオールクラッシュが、MAXまでためることでエクステンドアイテムが出現する。敵に極限まで近づくことで爆発的なリターンを得る、リスクとリターンの駆け引きを高めたまさしく危険行為推奨のシステムだ。
システムだけでなく世界観もかなり独特。巨大戦艦との戦いが今作のテーマである。ダライアス(特にダラ外のTITANIC LANCEやGダラのQUEEN FOSSIL)、R-TYPEなどSTGでは1ステージ使ってまでも巨大戦艦との戦いが描かれてきた。ところがオメガファイターの場合は全面通してである。例えば1面ではエンジン付近での戦闘、2面では左翼での激戦といった具合に各面ごとに巨大戦艦の部位が戦闘の舞台となる。6面以降は戦艦内部へと侵入しマザーコンピュータの破壊が目的となるのだ。こんなSTGは他にはないだろう。この辺りは独自のゲームを作り続けてきたUPLならでは、とも言うべき趣がある。
この全面通して巨大戦艦と戦うというのはゲームにも大きく影響を与えている。今作は縦STGだがスクロール方向は一定ではない。基本は縦ではあるのだが横に動いたり下に動いたりとかなりスクロール方向が変わる。しかしそれが巨大戦艦も動いていることを思わせ、ゲームを盛り上げる演出に作用しているのだ。
~死にたくなければ稼げ!~
ハッキリ言ってオメガファイターの見た目はかなり貧相な感じだ。1989年に登場したアーケードゲームとしては、同時期のR-TYPEⅡやダライアスⅡ(こっちは大型筐体なこともあるが…)辺りと比べるとどうにもしょっぱい感じは否めない。しかし、この見た目からは想像もできないほどの強烈な、そしてあまりにも危険なゲーム性を秘めた作品だ。見た目に騙されてはいけない。
敵に近づいて破壊すればスコアモリモリで良い感じ!なシステムを採用していることから、稼ぐ人は稼いで稼ぎに興味ない人は接近せずちまちまやってもいいんだろうと思われるかもしれないが、今作のあまりに危険な点は「稼がないという選択肢が存在しない」ことなのだ。「生き残るためには危険を冒し続けなければいけない」のだ。
今作のショットタイプにはアイアンとワイドの2種類があるが、バッサリ切ってしまえばワイドは使えない。序盤はまだ活躍の余地はあれど、3面辺りから敵がどんどん硬くなっていきワイドの火力では太刀打ちできないようになってしまうのだ。そうなると稼がないで生存優先でもアイアンを使うしかないのだが、アイアンはパワーアップすればするほど射程距離が短くなる。つまり、接近せざるを得ないのだ。リスクを避ける術など存在していない。命がけで攻め続けるしか生き残る術は存在していないのだ。ヤバい、ヤバすぎる。
更に危険を回避する方法としてアイテムを使うという方法があるが、まず最強のオールクラッシュを出現させるには10倍ボーナスを集めなければいけない。つまり極限の接近が求められる。危険だ。ではスローはどうかといえば、名の通り周りがスローになるだけ。スローになってる時間中に接近して敵を粉砕するというどう足掻いても危険を冒さなければ危険が回避できないのだ。書いてる自分もこれはおかしいだろと思わないでもないのだが、実際そうなのだから仕方がない。しかもスローは画面中に有効時間などが表示されず、いきなり効果が切れるというおまけつきであり、スローにして接近してたらいきなり戻って激突死なんてこともしょっちゅう起こる。
以上のようにスコア稼ぎに命を懸ける人だけでなく、いやこのゲームをプレイするありとあらゆる人がその危険行為に飛び込まなければいけないゲームシステム・ゲームバランスになっているのだ。ケイブのケツイのように接近すると楽になるというものではない、何がどうあろうと必死に弾幕の海に飛び込み敵を至近距離0距離で撃破しなければならないのだ。
そしてこれがあまりにも面白かった…! ローリスクローリターンなんてものは存在しない、ハイリスクしか存在しない、危険すぎてリスクの概念が崩壊した世界でひたすらに接近し敵を破壊するのがたまらなく面白かった…! 10倍で敵を倒したらでかでかと10倍!と表示されるところも、この危険行為の連発をアシストしてくれるナイスな演出だ。
またゲームにハマっていけば貧相な見た目などという言葉は口が裂けても言えなくなるだろう。敵のトリッキーな動きや飛び交う大量の弾幕などは1989年のSTGとは思えぬ斬新さにあふれている。特に敵の動きの妙なトリッキーさやあまり見ない敵の攻撃デザイン(特に3面横からの砲台と上からの敵の挟撃や3面4面5面で見られる地上砲台との戦い、6面や8面でのバウンド弾地獄など)は今見ても新鮮だ。
オメガファイターはサウンドも中々熱い作品に仕上がっている。UPLを代表するコンポーザーの長島義夫がサウンドプログラムを担当し、後にアトミックロボキッドも手掛けたメカノアソシエイツが作曲を担当している。UPLならではの、といえるある種メタリックで低音の効いた独特の音使いがたまらないだろう。また道中曲から自然にボス曲に繋がる演出も忘れてはならない。楽曲面で言えば1面や3面のカッコよさ、ボスへの流れが最高だ。ネームエントリー画面の曲は一転して高音が美しいものになってるのも印象的だろう。
だが、もう薄々は感じているとは思うがオメガファイターの難易度は無茶苦茶に高い。魔物級の達人王クラスでは流石にないが(でも2周目はそうかも…)、あのバトルガレッガと比べても遜色ない程度には難しいだろうと筆者は感じている。
接近戦が今作の肝だが、自機の当たり判定はほぼ見た目そのまんまというビックリ仕様がまず難易度を大きく引き上げている。これにより接近しすぎて死んだというケースが多発することに…。そして、実はこちらの方が大きな問題点なのだが復活が絶望的なのだ。今作の敵は3面辺りからどいつもこいつも硬い。そして死んだ場合はワイド1段階に戻されてしまう。つまり火力が絶望的なレベルまで下がってしまうのだ。そんなもんだから連鎖的に死を呼ぶ事態になっている。特に難関の6面では衝撃のアイテム出ない設定になっておりここで死んだが最後ゲームオーバーは確定ということにもなってしまう。
更に、1989年のゲームでありながらかなり弾幕が濃いバランスになっている。しかし当たり判定がデカいのでこれはかなりきつい。そして敵の動きはかなりトリッキーというおまけつきでもある。正直なところ稼ぎ云々の前に根本的な難易度が高すぎるのは事実だ。筆者も6面→7面→8面の流れには頭を抱えてしまい、長きにわたり7面開幕で絶望し、たどり着いた8面も訳分からんとうなり続ける日々を送っていた…
しかし! たとえ難易度が高かろうともその命を懸ける接近戦の面白さは麻薬的だ。筆者はゲームが下手でこんな難しいゲームおかしいよと言いながらもプレイを続けていたのはこの極限のゲーム性に心を奪われたからでもある。危険を冒し10倍を取りゲージを調整したりと極限の接近戦から生まれる独自の駆け引きはオメガファイターでしか味わえない物でもあった。あまりに危険すぎるゲーム性はかなり人を選ぶかもしれないが、今作は紛れもなく高純度のゲーム体験ができる作品だ。
~まずはこっちを選べ!オメガファイタースペシャルモード~
オメガファイターはあまりに危険すぎるゲーム性からお勧めできる人がなかなかどうして限られてしまうのだが、一方でアーケードアーカイブス収録で非常に親しみやすくなったゲームでもある。そしてオメガファイターには低難易度化を図ったオメガファイタースペシャルモードが存在している。
このスペシャルモードは凄い。なんせ10倍を取らなくてもゲージがたまっていくのだ! これによりオールクラッシュとエクステンドが大盤振る舞い状態になりミス時のリカバリーがとりやすくなった。特にオールクラッシュがバンバン出るおかげで道中は爽快そのものになった。オールクラッシュを抱えたら画面上に特攻! そしてすぐさまオールクラッシュ発動! 自機より下にいる敵が即死! そして全てに10倍がかかる! というバンバン敵が死にバンバン点数が稼げ、そして危険な要素もかなり軽減できるバランスになっているのだ。プレイ中危険すぎてかなりきついバランスにもなっていた原作とは異なり気楽にプレイできるようになっている。とはいえ元がオメガファイターなだけあってなかなかシビアなバランスは健在。それでもオールクラッシュがバンバン出るのでボスがきつい! 難所がきつい! という場面でボカンとかませばかなり先に進めやすくなるだろう。まずはこっちでその面白さを体感してもらいたいところだ。
またオメガファイターにはオメガファイタースペシャルというバージョンがある。先述のオメガファイタースペシャルモードは基板設定で変更できるのだがこちらは完全なバージョン違いである。さらにややこしいことにオメガファイタースペシャルのスペシャルモードというのもあるらしい(ややこしすぎるな)。それはともかく、このオメガファイタースペシャルでは10倍取らなくてもゲージがたまるということはなくなってしまったが、ランダムでオールクラッシュが降ってくる、コンテニューが可能(原作は不可能…)という変更点がある。やはりというか、オールクラッシュが降ってくるのがデカく難易度は多少下降気味である。
つまり、オメガファイタースペシャルモード→オメガファイタースペシャル→オメガファイター原作、という順番でプレイを進めていくと難易度に合わせてオメガファイターを楽しめるようになっている。アケアカ一つででオメガファイターを満足するまで楽しめるぞ!
~オメガファイターワンポイントアドバイス~
辛うじてオメガファイター(無印)を1周に成功した筆者が、ネットを探しても全然載っていなかったので、オメガファイター1周攻略に重要な事柄を少しではあるが備忘録的に書いておこう。
・自機爆破時の爆風はボスすら一撃破壊できるくらいには強力。ホントにどうにもならないときは突っ込んで爆死して無理やり突破するのも一つの方法(主に7面で使う)
・亜空間当たり判定バグ(敵を倒して倍率表示が出てるときに何故か当たり判定が残ってる)が存在。主に中型機で見られ、スロー使ってモリモリ破壊してるときにこれに遭遇するとテンションダダ下がりなので注意(どうやって注意しろという感じでもあるが…)
・1面開幕画面左端に位置して敵のやってくる位置に合わせてショットを撃っておけば楽に10倍がとれる
・アイテムは画面上に2つまでしか存在できない
・2面開幕でオールクラッシュ抱えてる場合、画面左端からゆっくり上へ行き、中型機が3体出た瞬間に画面上で発動することで10倍がモリモリ
・1~5面まではアイアン4段階が使いやすい。あまり短くすると墓穴を掘る(特に3面4面)
・4ボスで残機が余ってる場合、画面上から3体集合するタイミングで突っ込み自爆することで恐ろしいほどのゲージ上昇が見込める。無茶苦茶上手く行くとオールクラッシュとエクステンド両方出せる。
・7面を楽にするためにスローかオールクラッシュを持ち込む必要がある。オールクラッシュのゲージ調整は3面で行い4面は無視(死にやすい)、5面で微調整して6面に臨むといい感じ。
・6面はアイアン4段階以上じゃなければほぼ負け戦、可能ならばアイアン6段階くらいが最も使いやすい
・8面は硬い中型機が存在しない。ここのみワイドの方が使いやすい。
・ラスボスは手前乱射砲台さえ破壊してしまえば実は時間切れでクリア可能である。手前乱射砲台の破壊にはアイアンで撃ち込むか自機爆破時の爆風で処理するのが良い。
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