2015年12月7日月曜日

Flowery感想

正直、今まで遊んだVitaのゲームの中でも一際完成度の高い作品だと思った。プレイ中感動して涙を流すほどだった。それほどの破壊力をFloweryは持っていた。
しかしこのゲームの魅力を伝えるのは難しい。語ろうとするととにかく抽象的なことしか浮かばない。どうしたもんかな……


まずFloweryがどんなゲームかってと花びらを風に乗せて操作し、次々とつぼみに当たり花を咲かせ、花びらを増やしていき、エリア内を花で満たすゲーム、とも言えばいいか。癒しゲーと言われることが多いそうだが自分はあまりそうとは感じなかった。いや正確には、4面途中まではその気があるかなーと思っていたんだが、その後の演出を見せられちゃあねえ……。
公式ジャンルは「ポエティック・アドベンチャー」。ポエムと言えば伝説と化したスクウェアが送り出したレースゲームが思い浮かばれるがああいうゲームではない。というかゲーム中一切文字が出てこない(操作変更の文字などを除けば)。物語を視覚的情報のみで伝えようとしている作品と言えるだろう。ワンダと巨像やICOが近いといえば近いのだがそれとも違う印象を受ける。風ノ旅ビトをプレイしてればああいうのって言えるんだけどね……
そんなわけで演出はどことなく詩的というかなんというか。開幕の現実世界とその後の美しい草原の対比とか、非常に言葉にし難く、また人によってさまざまな解釈が可能となるような演出が多い。そのどれもが超高クオリティなのだから素晴らしい。ゲームならではの物語を徹底してる稀有な例と言えるかもしれない。とにかくプレイしてみてほしい。きっと心に何かを残してくれるはずだ。

操作はジャイロで傾けボタンを押すことで画面奥へ進むといった感じ(タッチ操作もあったけど保護シート張ってて反応が悪いと判断し未検査)。所謂スペハリ系、ナイスト系の操作で弾を撃たないといえばいいか。
操作性はいっちゃあなんだがあんまりよろしくない。が、それも含めてこのゲームの味だとも思う。オクトダッドのように劣悪な操作が面白さに結びつくってわけでもなく、ただ煩わしいだけとも取れるかもしれないが、そもそもゲーム内容が花びらを風で操作するってもんだ。うまくできるわけないよ。この煩わしさもなんだか風に揺られる感じでいいもんじゃないか。
それより特筆すべきは爽快感があることだろう。いや自分はこの手の雰囲気ゲーには爽快感に欠けるものが多いと思ってたんだけどこれは爽快感アリアリだったんじゃよー。特に3面。風に吹かれて高速移動!そして高速でつぼみにぶつかっていきババババっと次々開花!この爽快感は中々味わえるものではない。しかも開花時の効果音がこれまたいいんだよ。本当によくできてると思う。

何より音楽!やっぱこれだろ。先に書いちゃったけど効果音含め音楽の完成度が極めて高い。癒し系の音楽…といえばそうかもしれないけれど、とにかく聴いてて心地よく、そのヴィジュアルに恐ろしいほどマッチしている。ぜひともゲームで聴いてほしい音楽だ。

難点、というかネックになる点(同じか)はその短さだろう。このゲームは所謂ゲームオーバーもなく、誘導もかなりしっかりしているのでサクサク進んでしまう。それ自体は全然問題ないのだが総プレイ時間2時間程度でクリアできてしまうのをどう捉えるかで話は変わってくる。
トロフィー集めもやることを考えればプレイ時間は伸びるだろうが少なくとも長く遊べるゲームではないと思う。が、これはデメリットでもないと思う。2時間の間であれほど濃密で他では味わえない体験ができるのであれば全く不満にはならない。


とにかく素晴らしいゲームだったことは間違いなく、高評価なのもうなずけるまさに名作という感じの作品だ。特に5面~6面の演出は素晴らしく、5面のあと6面を体験した際すげー!!としか言えなかった。これは今流行してるような実況動画を見ることだけでは一生味わえない、体験して初めてそのすごさと面白さ、快感が分かるようなゲームだと思う。一見ゲームらしいゲームには見えないけれど、ゲームならではの面白さを含んだ非常にゲームらしいゲームと言えるだろう。PSハードを持っててこれをやらないなんてもったいない!今すぐこれをやれ!って言いたくなるような作品だった。


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