2017年9月30日土曜日

今月の一本 ハームフルパーク

今月はこれです。どうでもいいけど2017年9月15日はハームフルパーク独立宣言日みたいですわよ。遠い未来に思えた2017年が、もうそこに来ている…というか過ぎ去っているのだなあと思ったり。持ってない人はアーカイブス版を2017年記念に一本どうっすか。来年はエスプレイドの年でオノレーイカシテカエサン!みたいなことが起こりそうですな!
なんか話が大幅にそれたけどポップでキュートなコミカルSTGというのは意外と少ない気がするんで是非とも。初心者から上級者まで飽きさせない名作だと思いますよ。
��____

DATA
発売 / 開発 :スカイ・シンク・システム
登場時期 : 1997
ジャンル : 横スクロールシューティング
機種 : PS
今回はアーカイブス版をプレイ


��プレミアには理由がある~
突然だが皆さんはバーチャルコンソールやゲームアーカイブスはどういった魅力があるとお考えだろうか? 最新機種で懐かしのゲームが遊べる?ソフトのROM交換や端子フーフー、押し入れからハード引っ張ってこなくても手元で遊べる? そういった面も大いにあると思うが、ここではあえて「プレミアが付いたソフトを安く買える」と言ってみよう。世の中不思議なもので人によって価値観が違うにも関わらず、いやだからこそ、ゲームソフト1本に何万という価格が付いたりするものである。生産数が少ないゲームはもとより、出来がよくプレイヤーも手放さない中古に出回らないゲームにもプレミアが付きやすい。中古ですら高値安定な作品を600円やそこらで買えてしまう。これもまたバーチャルコンソールやゲームアーカイブスの魅力だろう。
ハームフルパークはPS界の泣く子も黙り裸足で逃げ出すプレミアソフトの一つであり貧乏人には手も出ないプレミア番長である。Amazonや秋葉原のゲームショップのショーケースに飾られている今作の値段を見るだけで乾いた笑いが出るほどのプレミア大明神である。そんな作品がゲームアーカイブスで配信されているなら、そりゃもう買うしかないっしょ! という感じだろう。しかし世の中には理由もわからぬままプレミア化したゲームもある(例:LSDとか)。そもそもプレミア付いているから絶対面白い! という保証はない。はたしてハームフルパークもそんなゲームなんだろうか……
……と思いつつもプレイしてみたところ、そんなことを一瞬でも思った自分が恥ずかしくなるほどの素敵ゲームであった。なんならPSで出た全STGの中でも屈指の出来だと断言していい。今作がプレミア化した最大の理由は、今作があまりにも面白すぎたからだ!

��ハートフルSTG~
ルールは単純明快、ガンガン撃ってバリバリ進むSTGである。4つの武器の使いこなし、オート連射のショットに緊急回避のボム、アイテムとってパワーアップ、スコアアイテムを取ってガンガン稼ぐ、オーソドックスなゲームである。システム面で目新しさは特にない、しかし無駄が一切ない完成されたものであるので誰でもすぐにゲームになじむことができるだろう。
プレイしてまず目に付くのが丁寧に書き込まれたグラフィック。一目見て「あっ綺麗だ!」と人を引き付けるような細部まで書き込まれたドット絵が素晴らしい。特に色使いがよく鮮やかで、しかしやさしいものになっていて絵に惹きがある。そして書き込まれた背景に負けることなく書き込まれたキャラクターやギミックも素晴らしい。そして非常によく動きその動きも飽きさせない。
今作は遊園地を舞台にしたコミカルSTGであり、丁寧に書き込まれたグラフィックもあり非常に楽しく華やかな空気感がゲーム内に流れている。キャラクターは可愛らしくキュートなデザインであり、主人公の二人も姉妹ということでゲームの華やかさの演出に貢献している。どうもSTGというジャンルは緊迫感があるというか、こういったコミカルでポップなSTGというのは意外と少ない印象があるが、今作はコミカルSTGとしては申し分ない楽しい演出に成功した作品だろう。
またストーリーも見所。お菓子と、恋と、遊園地。幸せいっぱい夢いっぱいの大人気遊園地「ハートフルパーク」が悪の科学者ドクターテキーラの手により「ハームフルパーク」へと大改造、さらにテキーラは50万人を人質に取ってしまってなんかもうヤバいぜ! 的な感じなので人質助けるために主人公のレスカとレモネがバイクに乗って要塞基地と化した「ハームフルパーク」で壮絶バトル! といったもので大まかな路線は笑いありのギャグ主体のそれであるのだが物語のエンディングではほろりとくるような展開もある。どことなく切ないエンディングは必見だ。

��HIGH-BROW GAG & PURE SHOOTING~
この言葉は今作のパッケージ裏に書かれた言葉であり、ある種今作の代名詞、キャッチコピーとも取れる言葉だろう。名は体を表す……その通りに今作はハイセンスなギャグに溢れかえっている。一周するごとに「まだこんなギャグを仕込んでいたのか!?」と驚くこと間違いなし。細かすぎて伝わらないギャグや、もはやギャグなんだかマジなんだか分からないものまで存在している。抱腹絶倒の大爆笑…というのは無いが(え?)、小出しに連発されるギャグの数々はプレイヤーを思わず笑顔にすること間違いなし。ここでは筆者の印象に残った場面の一部を紹介。書いてて頭が痛くなるようなものばかりだが、ゲームで見ると楽しいので是非ともゲームで見ていただきたい。

・1ボス
風船怪獣なのだが、最初は空気が抜けててしぼんでいる。ボスBGMが流れ出すと、ちびキャラ2体が必死にポンプを押して膨らませてボス戦開始となる。遊園地らしいかわいらしいボス演出だ。バンカズ2のミスターパッチより前にこういうのが存在していたんだなあ…

・2面中ボス
ステージ2はお化け屋敷が舞台。先へと進んでいくと教会が。そして中へ入ると突如として結婚式が。そしてそこへ乱入する花嫁の本当の恋人が! ヨーゼフ!ジェリエンヌ!とメルヘンドラマ的な展開!思わず泣き崩れる結婚相手も出る中、中ボス戦が始まる。まさかSTGの最中に結婚式が始まるなんて思ってもいなかった…

・2面ボス直前
お化け屋敷ステージの締めくくりともなる終盤ではフランケンシュタインが登場。しかしその頭の中からこれはどう見てもサザ○さんのネコのタ○の姿が……

・3面中間
雑魚で登場する大型飛行機を破壊すると離れ離れになる兄弟たちの姿が。どことなく罪悪感……

・4面ボス
4面ボスはなんと巨大な女の子。大きすぎて顔が画面から見きれている。妙にダンサブルな曲に合わせて激しい攻撃を繰り広げる。その顔はきっと背景のスクリーンに表示されている子みたく可愛らしいのだろう…と思っているプレイヤーの予想を裏切るオチが。よく見たら背景の子も鼻血出してる…

・夕焼けと言ったらラーメンよね
3面終了時主人公らがきれいな夕焼けを眺めている中突如としてしゃべるセリフ。このゲームに仕込まれたギャグのうち最も謎めいたものでありその意味はまるで分からない……。とにかく、夕焼けと言ったらラーメンらしい。

・6面後半
遊園地の裏は一体どうなっているのか! と思っていたら酒場のようになっておりキャラクターたちも飲んだっくれている。「一気に飲め」「飲んだら歌え」という格言まで存在。なんじゃそりゃ。

・1面海賊船
1面ではギミックとして海賊船が登場し攻撃を仕掛けてくるわけだがその攻撃方法はどうしたことか涙。よく見たら地面のトゲに腹の部分が当たって痛くて涙を流しているらしい……


さてHIGH-BROW GAGの方はハイブロウすぎてハイブロウなわけだが(意味不明)、もう一つのキャッチコピーであるPURE SHOOTINGの方はどうかというとこちらはまさしく言葉の通りの完成度。オーソドックス&広範囲のバルカン、貫通攻撃のレーザー、連射が効かないが超火力のスプレッドボム、ホーミングして貫通まで備えボンバーも最強のゼリーミサイル、この4つのウェポンを使い分けて攻略していくのだがこれが上手い具合に調整されたものになっている。ミスをすると使用していた武器のレベルが一気に最低まで下がるのだが、使っていなかった残り3つの武器レベルはそのままになる。このため武器を使い分ける戦略性やリスクとの駆け引き、パワーアップの戦略などが求められるスリルあるものになっている。
また面白いのは使いやすい武器ほどスコアをあまり稼げず、扱いにクセがある武器ほどスコアを稼ぎやすいというところである。今作はコンボシステムを採用しているのでまとめて倒すと大量の得点を手に入れることができる。
例えば敵編隊が出てきたとき、バルカンで残らず倒すことはたやすいがコンボは起こらない。一方でここで貫通レーザーを使うとすると、残らず倒すには敵配置の暗記と的確なポジション取りなどが必要になるものの、一度のレーザーでまとめて倒すことができコンボが発生、大量の得点を得ることができる。こういった面でも武器の使い分けが効いてくるバランスになっているのだ。このためやればやるほどにその配置の意図を読み取り、スコアを伸ばそうという意識も強まる。
50万点ごとにエクステンドするという仕様もこれを後押ししていて、ある程度のスコア稼ぎがクリアに近いバランスともいえる。一方で鬼のようにスコアを稼ごうとせず、使いやすいバルカンと強力なゼリーミサイルを使って安全にクリアという解法も許容されている。遊びに幅のあるSTGに仕上がっているのだ。パロディウスやバトルガレッガのようにスコアアイテムを連続して取り続けると得点の素点が増えていき爆発的にスコアが伸びる点も面白く、地形にスコアアイテムが当たると地形に沿って動いてくれて取りやすいという良い配慮も存在している。ゆるいギャグに埋め尽くされている今作だがその中身は初心者からマニアックなスコアラーまでうならせるほどのガチな作りになっているのだ。

��ミニゲームもアツい! もはやこっちが本編?~
今作には3つのミニゲームが本編とは独立して存在しているのだが、ミニゲームじゃなく普通に一つのゲームとして売り出してもいいんじゃないか!?と驚くほどに完成度が高いものになっている。テニスが如く球を打ち返し、ホッケーのようにゴールに入れる「パンチボール」、超速スクロールで爆走し最速を追い求める「スカイサーキット」、レーザーと地雷搭載した戦車を駆使し自分以外の戦車を残滅する「タンクバトル」がそのミニゲームなわけだが、このうちパンチボールは2P専用なので一人だと遊ぶのに難ありだが残る二つ、特にタンクバトルが極めてアツい仕上がりになっている。
スカイサーキットではレースゲームのタイムアタックのようにコースの把握とブーストをかけるタイミング、カーブ地帯での減速加速のバランスがカギを握り2P対戦も可能でありレースゲーム好きにはたまらないものだろう。
タンクバトルはフィールド上に地雷を設置しつつレーザーを使って相手戦車を倒していくわけだが、このバランス調整が極めて秀逸。地雷は設置してしばらくすると見えなくなるのでそこに相手を誘い込む、ないしレーザーを当てて起爆させるというのが基本戦略となり、レーザーは壁で反射する性能になっているので戦車ではかなりかわしにくい。このレーザーと地雷の駆け引きが極めて面白いものになっている。誰にも気づかれないような位置でレーザーをちょこちょこ撃ち、のこのこやってきた相手を設置してあった地雷で爆殺! といったことだったりドンパチやっていたら不意打ちでレーザーがすっ飛んできて大ピンチ! 普通に移動していたらいつ設置されたか分からない地雷を踏んでそこでゲームオーバー! みたいなドラマが起こりやすい構造になっている。さらにこのミニゲームのみなんと4人対戦も可能。このアツすぎるバトルゲームのために今作を買うのも十分に有りだ。



0 件のコメント:

コメントを投稿