2016年8月22日月曜日

今月の一本 flOw

今の自分に足りないのは情熱なんじゃないかそうだよ熱意を失っては無気力極まりない現状を打破するには情熱溢れる制作物に触れなくてはいけないんだそうだ情熱だパッパッパパパパッショーン!!なんて錯乱してる感じに過ごす一日。そんなわけで不定期開催新企画と題して本日遊んだ「flOw」なんてのをご紹介。この作品は、なんとあのthatgamecompanyが作り出したのだッ!なんて言って反応してくれる人がどれだけいるか極めて不安だが……。有名どころだと、風ノ旅ビトを作ったところッス。しかしかれこれもう10年近く前の作品なのか……(Flashゲーとして登場したのが2006年、PSNゲーとして登場したのが翌年らしい)
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DATA
発売 / 開発 : ソニー(SIE) / thatgamecompany
登場時期 : 2006年(Flash)/2007年(PS3)/2008年(PSP)/2014(PS4、PSVITA)
ジャンル : Zen
機種 : Flash/PS3/PSP/PS4/PSVITA
公式:http://www.jp.playstation.com/software/title/jp9000cusa00178_00flowplaystation4.html

��今回はVita版をプレイ)

今作は風ノ旅ビトにて爆発的な知名度を獲得した(と思う)thatgamecompany謹製の作品で同社の2作品目に当たり、更には初コンシューマ進出でもある。thatgamecompany特有の空気感は今作の時点で存在しており同社のルーツともなってるような作品である。
そんな「flOw」だが、どんな作品かってのは実は結構説明するのが難しい。なにせ流れに身を任せ漂うゲームとしか説明のしようがないのである。LSD並、とまではいかないが極めてゲームゲームしてない作品であり「ホントにこれゲームって呼んでもいいのか?」とプレイ開始した直後は思い悩み頭を抱えることになるだろう。しかしものの15分もすれば「thatgamecompany、やはりお前らは天才だ」と涙を流し感動することになるだろう(ホントかよ

ゲーム内容は至って単純。海の中をジャイロ操作でゆらゆらと漂うだけである。思うがままに漂え。以上。……で終わっちゃうとあまりにも身も蓋もないよなあ。一応クリーチャーを操作してプランクトンや他のクリーチャーを捕食しどんどん自クリーチャーを大きくしていくということや、どんどん海の底を目指し深く潜っていくっていう目的もあるが、ただそれだけ。感動するシナリオも圧倒的な敵キャラなんてものも無くハッキリ言って雰囲気が優れただけの地味で単調なゲームかもしれない。操作性もジャイロのせいでかなり悪い上にスティック操作も使えないとかなり厳しいゲームだ。
しかし何も考えずプランクトンを捕食し、深みへと潜っていくうちに、いつしか「flOw」の深みへとハマっていくことになるだろう。美しく幻想的な海の世界と優れた環境音楽のような音楽と、無機質だが暖かみのある効果音とが重なり合った世界はもはや総合芸術としか言いようがない世界。映像と音のシンクロという意味では今作に匹敵する作品も中々見ることが出来ないであろう。まさしく「ゲームでしか出来ない体験」に特化した作りである。そしてその体験こそが今作を語る上で欠かせないものになる。ゲームとしては捕食をひたすら繰り返し深海へと潜り続けるだけなのだが、そこには幾千のドラマが生まれている。一つのクリーチャーで海の底へとたどり着き冒険が終わった時、プレイヤーの心には「旅をした」というような気分にさせてくれる。この旅をしているような気にさせるゲーム作りはthatgamecompanyの十八番とも言えるものであり、これが後の「Flowery」「風ノ旅ビト」へとつながっているということを思わせる。

ところで今作の公式ジャンルは「Zen」である。Zenとは何ぞや?それは「禅」である……たぶん。一応禅パックなる謎の物がPSNにあったような記憶があるし……
それはともかく禅がテーマの今作だがぶっちゃけた話自分は禅なんぞは分からん。だがその空気感は非常に強く伝わってくるだろう。禅なんて知らない男が「flOwを遊んでいると諸行無常を感じさせる」なんてことを思う次第である。それほどに今作には何かを感じさせる力が強い。プレイ序盤は「オラオラー!それは俺のエサだてめーらどきやがれーッ!!」なんてつぶやき本体をブンブンと振り回していたが、次第に「もういい……もういいんだ……」などとつぶやき無の境地に至りながら捕食にいそしんでいる始末。プランクトンを食すのにも、クリーチャーを食すのにも次第に影を落とすようになる。巨大な自クリーチャーに手も足も出ず食べられていくプランクトンたち、無機質な音を立てて崩れていくクリーチャー、そうした生き物の命を奪い成長していく自クリーチャー。幾千もの命のやり取りがあり多くの生き物を殺して更に深海へと潜っていく。そりゃあ自クリーチャーがどんどんと大きくなっていって成長の過程を眺めるのは楽しい。しかしそのために死んでいったものも数知れず……なんてことを思いながら海の中を漂ううちに、いつしか頭の中の思考もゆらゆらと流れ漂っていく。生きるとは何か?なんて哲学的なことすら考え出す始末……なんてことを書いちゃうと流石に言い過ぎだがそれでも数多くのことを考えさせることは確かである。深海に潜っていくうちに、プレイヤーのアビス(深淵)にも潜っていくなんてテーマだけでこのレベルの作品を作りあげてしまうthatgamecompanyはやはり只者ではない。
といってもあくまでこれは自分が感じた印象でありプレイヤーごとにそれぞれ思うことは違うであろう。なんならプランクトンを避けながら深海へと潜ることも可能である。また自分のように数々のクリーチャーまでも捕食にいそしむことも可能。そういった意味で思うがままに漂うゲームである。どんなプレイをしてもプレイヤーに何かを残してくれる。それが「flOw」である。総プレイ時間がかなり短くなる作品ではあるが、それでも買う価値のある作品である。風ノ旅ビトしか知らない、なんて人は是非とも今作やFloweryもプレイをしてほしいところ。ゲームでしか体験できないことがここにある。誰にもまねできないゲームを作り上げることのできるthatgamecompanyはやはり凄腕開発会社だと強く感じた。



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